4月10日、大好きな監督大林宣彦監督が亡くなった。なんだか心にぽっかりと穴が空いてしまい、一日中ぼ~っと過ごしてしまったわたし。好きな映画に名監督と呼ばれる人は多い。素晴らしい作品を残した人も多い。だが、大好きな監督と呼べるのはこの人いない。はじめて観た作品は大林監督がはじめて長編作品を手がけた“HOUSE”。監督とのはじめての出会いとなる作品は、出ている女優さんたちに引かれての鑑賞。アイドル全盛の時代1977年の事である。当時好きだった大場久美子を観たくての単純な理由。ホラーとコメディを合わせたようなファンタジー映画は、お嬢様学校に通う演劇部7人の女子高生たちが主人公。かなりハチャメチャな展開の上、映像表現がまるで紙芝居を観ているようななんだか不思議な感覚を覚えたものである。もともとCM制作出身ということを後で知り、なるほどと思った独特の映像手法がそこに写し出されていた。そして心を奪われたのが“転校生”。続いて“時をかける少女”と続きこれで完全にわたしはノックアウト。一番多感な頃の中・高校生たちの繊細で変化に富んだ感情が画面から溢れ、自らに重ね合わせて観てしまうそんな作品たちにこころを奪われた。監督の暖かいこころと深い愛が、どの作品にも溢れています。監督の作品を観てどれだけ涙を間がした事か・・・。でも哀しいだけでは無く、その流した涙がすべてこころの宝物になっています。思いっきり泣いた後の清々しさは、一度経験したらもう止められません。先日、追悼公開で“時をかける少女”をTVで放映していました。何度も観ているので、シーンを追っていると突然涙が溢れ出してしまう情けなさ。主人公の様にまるでデジャビューのように、次のシーンが頭に浮かび感動の場面になる前から涙が溢れ止まりません。今観ても良い作品です。何か忘れてしまいがちな大切なものを、再び思い出させてくれる魔法のような気がします。
監督の作品は3分の2くらいしか観ていませんが、とくに好きなのが“ふたり”。当時人気の作家赤川次郎原作でTVドラマと同時に撮影しTV放映後に公開された映画である。主人公は2人の姉妹。物語はしっかり者の姉とおっとりした妹が運命の悪戯により体験する、大人への成長過程がきめ細やかに描かれています。姉千津子役を中嶋朋子、妹美加役を石田ひかりが演じ、血の繋がりという言葉では言いつくせないほどの深い絆を見事に演じ感動を呼ぶ。監督作品の中で一番好きな作品がこれである。1番好きな映画監督が撮った1番好きな作品だからこれが私個人の1番かも?実は当時この作品にはまり、1週間続けて劇場に足を運んだわたしです。ポスターのデザインが昔の映画宣伝風にイラストで描かれ、とても良い雰囲気で映画を表していたことが思い出されます。
書いても書いても話しは尽きないので、ここらで筆をおきます。ふるさと尾道を舞台にした作品が多い監督ですが、映画を観ると行った事が無いのになんだか懐かしい気持ちにさせてくれます。これも大林マジックのひとつでは無いでしょうか?最後にもうひと言、監督作品にはいつも心の動きに合わせるように音楽が寄り添い感動をより強く演出しています。“時をかける少女”はまさにその象徴でした。ガン宣告を受けてもなおかつ、最後まで映画制作に命をささげた監督に敬意と感謝を贈ります。「ありがとうございました」
P.S. 新型コロナウィルスにより時間が止まってしまった今、監督の作品に触れひとを思いやる気持ちを思い出しましょう。1日もはやく感染が終息することを願ってやみません。みなさん頑張りましょう!