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よもやまシネマ510 “三島由紀夫VS東大全共闘…”
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2020.4.3

新型コロナウイルスの猛威に自粛を余儀なくされる日々。欲望ばかり優先するのは控え、ぐっと我慢の毎日。そんな中、しっかりとネットで状況を調べ劇場へ足を運んだ。どうしても観たい記録を確かめたい一心が、わたしを劇場へと駆り立てた。観客は私を入れわずか5人。観た作品は“三島由紀夫VS東大全共闘”というドキュメンタリー映画である。天才作家と呼ばれた三島由紀夫が、TVの画面に映し出され額にハチマキ姿で何か大声で叫んでいる姿を覚えている。当時16歳の青二才の自分には、何が起きているのさえ想像もつかなかったあの出来事。翌日知った三島由紀夫の自決は、余りにも衝撃的で「何で!!」という言葉しか思い浮かばなかった。あれから50年の歳月が去り、その真相に少しだけ近づけるチャンスをもらった。文学にはとくに強い関心もなく、当時は時間さえあれば映画ばかり観てたまに絵を描くそんないたって暢気な高校生だったわたし。そんなわたしでさえ知っている三島由紀夫。その人が自衛隊市ヶ谷駐屯地に侵入し、かつ決起を促したその後の自決という最後。まだ中途半端なこどもだったわたしには、どんな映画やドラマより衝撃的な事件だったことがいまもこころに蘇る。正直三島由紀夫をよく知らない。「金閣寺」くらいしか呼んだ事も無い、素人同然の自分である。そんな自分がなぜこのドキュメンタリーに引かれたのかは、わたしにも不思議である。唯一接点があるとすれば、映像の中でも写し出されている学園紛争で揺れていた当時にリアルタイムで生きていたこと。実はわたしの母校某K工業高校は、当時学園紛争の真っ只中。来る日も来る日も体育館で集会が開かれ、学校側に対し多くの改善を求める決起が行われていた。東大安田講堂事件の後、衰退していった大学の学園紛争を引き継いだかのようにほんのわずかだが高校へとその火はつながったのである。その中のひとつが我が校の学園紛争である。入学したばかりで、右も左も解らないいわいるノンポリと呼ばれた学生のひとりだったわたし。その紛争も校長室に籠城しての抵抗もあえなく破られ1年で終焉を迎えた。今思えば、まるで夢の中の出来事。いったい何が起こり、そして終わったのかさえ理解しないまま高校生活を終えていたのである。高一の1年間はまったく授業も行われず、毎日出欠だけを取りに学校へ通うという状態。今思うと大切な時間をなんと無駄に過ごしていたそんな気がする。それでも時を重ね大人になり、曲がりなりにも生きている。変な話し振り返ると、あの無駄とも思える時間こそがとても貴重な経験だったのだろうとこころから想う。ちわ話がすぎました、申し訳ない。
さて、“三島由紀夫VS東大全共闘”の話しをしましょう。映画を観てまず感じたのは、当時(1969年)は、良くも悪くも熱かったということ。右だの左だのと物騒な時代ではあったが、間違いなく国を思い、人を思うこころは真っ直ぐだったことが画面から溢れています。それを感じ取れただけでも充分すぎる鑑賞の意味。わたしなどにはそれ以上のことを語る資格などありません。希代のスーパースターとも呼ばれた三島由紀夫という人間に、ほんの少し近寄れたそんな気がします。作家というくくりだけでは語る事の出来ない、まさにスーパースターなのは間違いないと確信します。でもきっと本人はそんな敬章を否定するだろうし、そんな軽い言葉は失礼かも知れません。学生(マスコミも入れ)1000人に対して、たったひとり自らの考えをぶつけ、戦いを終えた彼の姿はなにかすがすがしさに溢れ凜としていました。もし、いま彼という(三島由紀夫)存在が実存していたなら、日本をどう思うだろう?そして日本人をどう思うだろう??とそれだけが頭の中を行ったり来たりし自問自答を余儀なくされる。ドキュメンタリーの中に描かれた、人間三島由紀夫の嘘の無い姿はとても熱く輝いていました。その瞳の奧にぎらぎらと滾る光は、いったい何処に向かれていたのでしょう。
P.S. 討論の中で三島が発した言葉「私は諸君の熱情は信じます。これだけは信じます。」という言葉に彼の深い愛と生きざまを感じました。明日の糧としてこころに刻み、また毎日を大切に生きようと思います。


by eddy-web | 2020-04-07 00:00 | よもやまCINEMA(映画の話) | Comments(0)
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