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よもやまシネマ508 “ジュディ 虹の彼方に”
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2020.3.19

本年度アカデミー賞最優秀主演女優賞を獲得した映画“ジュディ 虹の彼方に”を鑑賞。実はこの作品で最優秀主演女優賞を手にした女優さんレネー・ゼルウィガーの作品ははじめて。もちろん名は知っていたが、いままで観た事がなかったわたし。彼女をはじめて知ったのはリチャード・ギアと共演した“シカゴ”。なぜ観る事がなかったのか、残念ながら思い出せない。きっと何か理由はあったに違いない。ブロードウェイの伝説的振り付け師であり演出家のボブ・フォッシーによるミュージカルでいまも絶大なる人気の作品である。この年のアカデミー賞を6部門受賞した作品を見逃したのは18年も昔の出来事。いまさら思い出そうにも無理がある。その時主演のゼルウィガーが主演女優賞にノミネートされ高い評価を獲ている。その後彼女の名を不動のものにしたのが“ブリジット・ジョーンズの日記”シリーズだったのだが、これも申し訳ないが1本も観ていない。今思うにこんな達者な女優さんに、いままで触れていなかったことを公開するばかりである。沢山の映画を観てきた、そんな中素晴らしい作品にも数多く出会ってきた。中でも一番なんて聞かれても答えようが無いのだが、単純に好きな映画というのがきっと嘘の無いわたしの中の良い映画に違いない。そう考えると今回観た“ジュディ 虹の彼方に”は間違いなく好きな作品のひとつとなった。そして同時にいままで彼女を知らなかった自身がとても恥ずかしく、情けない気持ちになる。今年のアカデミー賞のほとんどを鑑賞したわたしだが、ゼルウィガーのこの作品でのパフォーマンスは言葉が出ないほど圧巻の演技である。伝説のスター、ジュディ・ガーランドの名をいま再び世に知らしめるには余りあるほどの見事な演技にこころが揺さぶられること間違いなし。
さてジュディ・ガーランドを知る世代はかなりの高齢者。66のわたしでさえ、娘のライザ・ミネリのほうが先に知ったくらい前のハリウッド黄金期の女優さん。47歳という若さでこの世を去った伝説のひとは子役として“オズの魔法使い”のドロシー役で華々しくデビュー。抜群の歌唱力と愛いらしマスクであっという間に大スターになった。だがその反面薬物依存などによるスキャンダルも多く、人気に比例するかのように多くの伝説をも残している。そんな彼女の伝記映画となるのが今作である。この作品を制作するにあたり娘のライザ・ミネリにも承諾の話しがおよんだようだが、彼女は賛成も否定もしなかったようで静観の立場をとったと聞いています。率直な感想だが、ジュディの本質に何処まで迫って描かれているかは正直解らない。多少美化され描かれてもいる事だろう。ただ、少なくともこの作品を観る限り当時のショービジネス世界のすさまじいエネルギーの波に飲み込まれた、ひとりの人生が浮かび上がっているのは嘘ではないと実感させられる。そんな難役ジュディを演じたゼルウィガーの圧倒的パフォーマンスが、この作品すべてと言っても過言では無い。生意気な言い方ですが、この役は彼女以外では演じる事は不可能だったのではないでしょうか?きっと観るひとはだれもがそう思うはず・・・。ゼルウィガーは偉大な女優の役を演じるに当り、決して真似することをしないとこころに決め望んだそうである。とくに凄いのは歌。ものまねにならないよう、自らの声と歌唱力だけをたよりにジュディとゼルウィガーを重ね合わせ見事に伝説の女優を復活させてみせました。ジュディの知られざる苦しみや悲しみ、そして大いなる愛に触れる素晴らしい作品です。それにしてもゼルウィガーの歌唱力にはことばを失うほどの説得力があり、ビックリさせられました。久しぶりにサントラがほしくなったわたしです。当時の舞台の雰囲気や衣装など、黄金期の映画界が写し出されているのも古き良き時代と同時に表裏の舞台裏までも知る事が出来る名作と言えるのでは無いでしょうか。
P.S. 昨年アカデミー賞を受賞した“ボヘミアン・ラプソディ”に続いての音楽をテーマにした作品でしたが、スターに上り詰めるひとたちが手に入れる栄光の裏で、それと引き替えに失うものが大きなものであることを再認識させられる作品です。
余談ですが、娘のライザ・ミネリは母が手にできなかったオスカーを“キャバレー”で受賞しますが、皮肉にも母ジュディと同じようにアルコール依存や薬物により多くのスキャンダルをおこしています。きっとスターという職業は凡人には解らない、深く大きな孤独と戦っていく仕事なのかも知れません。


by eddy-web | 2020-03-23 00:00 | よもやまCINEMA(映画の話) | Comments(0)
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