2020.2.28
昨日の重たい余韻を払拭したく連日続けての映画鑑賞。今日は久しぶりに日本橋へ。選んだ作品は“黒い司法”。この作品もネットで検索していてたまたまヒットしたもので、まったく情報は入っていない。引っかかったのはやはり実話がベースという理由。実話をもとに創られる作品がここのところ多い。作り手側の実力が問われるのと同時に、何と言っても説得力のある表現が求められる。今年のアカデミー賞にノミネートされた作品も数多くが実話ベースのものであった。
そんな中選んだのが“黒い司法”。タイトルからして差別や権利をテーマにしている事が伝わる。最近観た作品の中では“リチャード・ジュエル”が近いテーマ。一番の違いはいまだ根強いアメリカの中に残る人種差別(黒人)の壁への挑戦である。多くの黒人差別の作品が今までも多く創られ、上げれば切りが無いほど名作も多い。ほぼハズレる事の無いテーマに今回挑んだのは、デスティン・ダニエル・クレットン。わたしには初となる作品鑑賞で期待は高い。もう一つ鑑賞の選択肢に上げるのは、豪華なキャスティングの実力派メンバーたちである。主演の弁護士ブライアンを演じるのが、若手実力派トップとも言えるマイケル・B・ジョーダン(フルートベール駅で)。さらにジェイミー・フォックス(Rey/レイ)、そしてブリー・ラーソン(ルーム)と、ともにアカデミー賞主演賞を手にしている。これだけでも観る価値は高いのが解る。アメリカという大陸は多くの州に別れそれぞれに司法の形が微妙に違うのは周知の事実。とくに南部に関してはいまだ人種差別の厚い壁が根強く残り、目に見えて黒人たちと一線を引いている現実。舞台は1980年代のアラバマ州。そこで起きた象徴的事件をテーマにした今作は、そのリアルさに現実の厳しさを思い知らされやるせない憤りを感じさせる。こんな事が許されるのかと思うねじ曲がった司法との戦いは、最後の最後まで緊張感を継続しラストへと導く。今回はハッピーエンドという形で終わるが、その裏で多くの人間が人権を無視され人生を終了している現実がエンドロールに流れる。この現実を知る事こそ、この作品の真の意味があるのを忘れてはならない。
良い作品にまた出会えた事に、感謝と敬意を言わせていただきます。世界から少しでも差別の壁が無くなることをこころから願うばかりです。
P.S. 主演の三人がみせる見事な演技が、こころに沁み諦めない事の大切さをしっかりと伝えてくれます。いつになったら人間たちは、平等になり人権を手に入れる事が出来るようになるのでしょうか?永遠のテーマであり、そのことにひとりひとりが真摯に受け止めなければいけないことを知る機会をくれる作品です。