

2020.2.6
観たい映画が見つからず、困ったときのギンレイホールと言う事で飯田橋へ。いつも開館前にいつも列が並ぶ劇場前にめずらしくひとがいない。即チケットを買い中へ。この日は今年一番の寒さと聞いていたのだが、本当に寒く勝手な解釈だがオーナーがきっと早めに開場したのかも知れない。中に入るとやや少なめな観客。年齢層は60~70歳かと思うシニアのひとびと。この劇場のきっと常連さんがほぼ締めているに違いない。
今日は何とか頑張って2本を見切ろうとやって来た。まず1本目。まったく情報のない作品の名は”エイス・グレード“。なかなか自分から観たいと思う作品のジャンルではないタイプの作品はいかに・・・。「世界でいちばんクールな私へ」というサブタイトルがついた作品は、2018年度の作品で中学卒業間近の悩める乙女の物語。丁度近い年齢の息子との反抗期バトルが続く我が家と重なり、ある意味すごく親近感が湧いた。SNS社会を象徴的に描いた作品は、そうそうこれが現実だと思わせるシーンが数々登場する。主人公の少女ケイラは内気な性格が災いし「学年でもっとも無口な子」という不名誉な賞をもらうところから話しははじまる。そしてはじめたユーチューブでの、ちょっと背伸びをした動画投稿。まさに今を象徴する日常と子どもたちの内面が浮かび上がる。どこにでもいそうな少女とそれを取り巻く学友との生活を中心に、父親との関係を重ね今時の子(女)の繊細なこころの動きをユーモアを交え表情豊かに描いた作品はマジで勉強になりました。男の子と女の子との違いはあれど同じ年齢の子を持つ親として、子どもとの向き合い方などあらためて考えさせられる。普段はほとんど無視状態で会話すらしない娘が、悩みながら成長する姿を遠くで見守る父親の姿がなんとも健気でちょっと痛い。そしてラスト近くの二人の会話シーンは涙を誘う。子どもの気持ちにちょっとだけ近づけたような気がする作品でした。
主人公のケイラを演じたエルシー・フィッシャーが、ティーンエイジャーの繊細なこころの波を見事に演じていて清々しい。美人とは言えないがとてもチュートでチャーミング。きっとこれから人気が上昇するに違いない。まわりの学友たちもみなのびのびと演技をしている感じで、ストレートの観ているわたしたちの中に入ってくる。60歳も過ぎるとなかなかこの年齢との接点も無く、中々この年齢層の考えていることが見えない現実。そういう意味では、昔の自分を見返す言い機会かも知れません。中にはついていけない方もいらっしゃる事でしょうが、無理に近づこうとせず自然体で包めたら良いかもと感じるわたしです。簡単ではありませんが・・・。
P.S. シングルファザーのお父さんマーク役のジョシュ・ハミルトンさんが、とても良かったです。娘との距離を縮めようと悪戦苦闘する姿は、ときに滑稽で笑いを誘うが確かに存在する愛情の深さをじんわりと感じさせ心が温まりました。