2020.1.14
2020年、年明け最初の映画鑑賞。最後に観た作品が“テッドバンディ”で、20日もの間映画を観ない日が続いた。お正月で何かとやる事が多かった事もあるが、観たいと思う作品が無かったと言うのが事実。公開されている作品はほぼ観ていたので、こんな有様になってしまいました。昨年は年間65本の映画鑑賞をし、週一ペースを何とか達成。にもかかわらず、今年のスタートがかなり出遅れてしまい焦っています。今年もよろしくお願いいたします。
さて、年明け初の作品”フォードVSフェラーリ“の感想です。実話がベースということもあり、中々の力作です。タイトルが生々しいので、いわゆる企業抗争を映像化したドラマとかってに思い込んでいました。ところがどっこい!男心に火をつける「夢に向かいひた走る、男二人の友情」が爆音とともにスクリーンに映し出される。カーマニアにとってはたまらない作品に違いないと思うが、車に全然興味の無い人でも100%と満足のいく作品です。わたしはバイク好きですが、車には特別強い思い入れはない。もちろんそんな自分でもフェラーリもフォードも知ってはいるが・・・。そんなレベルの知識しかない自分でしたが、アメリカとイタリアの名門自動車メーカー2社が、ル・マン24時間耐久レースを舞台に繰り拡げるモータースポーツの頂点をめざした争いの裏に秘められた熱い物語に酔いしれました。
主人公はマット・デイモン演じる伝説の元レーサー、キャロル・シェルビーとクリスチャン・ベイル演じる、腕は抜群だが性格に問題がある型破りの問題児レーサー、ケン・マイルズの二人が織りなす1966年のル・マン制覇を舞台に描かれる。当時ル・マンを6連覇中の絶対王者名門フェラーリをアメリカの大企業フォードが買収に失敗したところから、物語がはじまるのだが・・・。観ているうちに何だか今お騒がせの日産とルノーの事が頭に浮かんだ。自動車産業の衰退がはじまり、あれよあれよと企業合併(表向きは)が世界中に起こり、名ばかりの企業になりかねない実情の自動車メーカー。そんな裏事情を垣間見るような感覚がこの作品のベースとなり、よりリアリティを感じさせる。何十年も前から生き残りをかけた、熾烈な争いが繰り広げられていたことを知る良い機会になりました。ただわたし自身はそちら(企業抗争)より、主人公二人がとものに求めた夢の実現への戦いに挑む姿に感動し、大きな波に飲み込まれまいとする熱い思いに胸を打たれました。劇中フォード社の役員から主人公のひとりケンが異端児扱いを受け、「奴は純粋過ぎるところ」が問題だ!と言われる。ここが物語のまさにコンセプトである。公人と個人の差こそあれ、夢を掴むことへの大きな隔たりがこれほど違うことにショックを受けたと言うか現実を思い知らされた。もちろんこれは良い悪いではない。ただわたしは絶対個人の思いを優先するだろう。と言う事は大物にはなれないということです。主人公二人のプライドの輝きは紛れもない真実で、わたしはそれに賛同します。シェルビーとマイルズ、めちゃカッコいい男たちです。さて、みなさんはこの物語をどう受け止めますか・・・。
P.S. マイルズの家を訪ねたラストは泣けますが、劇中で一番印象に残ったシーンをひとつ上げるとすると・・・。それはレースで圧倒的有利にレースを進めていたフェラーリを逆転しゴールを切ったマイルズの勇姿に、レースを観戦していたフェラーリの会長がアイコンタクトで賞賛する。ここは感動です。これこそ純粋の極みでは無いでしょうか?その意味は直に映画を観て確かめてください。
※もうひとつ言いたいことが・・・。マイルズの妻モーリーという女性像が理想的に描かれ、男の夢にこんなに寄り添える女性って、世の中に存在するのでしょうか?という疑問です。演じたカトリーナ・バルブも素敵な女優さんでした。