銭湯探訪46
塩湯(新宿区三栄町)
2019.11.20しばらくぶりに旅に出た。旅と言っても銭湯巡礼のライフワーク。近隣の銭湯を走破したいま、旅は電車やバスといった乗り物に手をかりての遠出になる。ある意味ちょっとした旅行気分である。見知らぬ街を訪ね、その街に住む人々の生活に寄り添うお風呂屋さんに触れると何故かこころが穏やかになる。今日はまず市ヶ谷に出て、魚の餌を買いに駅前のフィッシュセンターに・・・。木枯らしが吹き始めたこの日でも、釣り堀には釣りを楽しむお客さんがじっと水面のウキを見つめていた。きっと釣り人のみなさんは、わたしが銭湯で感じる安らぎをここで同じように感じているに違いない。しばらくながめそこから歩いて四ッ谷に向かった。街路樹が色づきはじめ、街行く人の姿もすっかり秋模様。のんびりと歩いて秋を感じながら四ッ谷まで・・・。

今日訪ねる銭湯は「塩湯」さん。四ッ谷の駅から新宿にむかい徒歩3~4分くらいで、新宿通りを一本路地を入ったところにある。ビルの一階に佇む都会のオアシスは、暖簾を揺らして迎えてくれた。オフィス街にあるお風呂屋さんの多くは、下町のそれと違い煙突の姿も見当たらないので探すのに苦労する。今回は運良くすんなりたどり着く事ができた。「塩湯」と言う名につよく引かれるものがあったわたし。沢山のお風呂屋さんを訪ねたがこの名ははじめて。お湯に塩でも含んでいるのかとも思ったが、そうでもないようで結局名の由来は解らずじまい。それでも大正から創業で100年を超える老舗と知った。100年もの間だ姿は変えれど、この街の人々に寄り添い歴史を重ねた場所と思うと感慨深いものがある。

中に入ると入り口とはイメージが違う番台。ちょこんとすわったおじいちゃんが迎えてくれた。80歳くらいだろうか?何時ものようにスタンプをもらい、サウナの分もふくめ料金を払った。浴室内はこじんまりとまとまり、昔ながらの雰囲気。四つの浴槽に分かれた湯舟は、備長炭を使った遠赤外線のお湯やジャグジーなどちょと狭いが充分楽しめる創り。もちろん水風呂もある。サウナでしっかりと汗を流し、水風呂で肌を湿る。これはもうたまりません。サウナに入ると汗が出始めるまではしばらく時間がかかる。背中を1本の汗がつたう、瞬間がたまらない。全身の毛穴が開き、身体の中から毒が外に排出されて行く感覚を味わう至福の時間だ。10~15分しっかり汗を出し、その身体を水風呂へ浸す。その瞬間の毛穴が締る感覚がこれまた格別である。久しぶりにまったりと時間を過ごし、気がつくと1時間半もの長居となった。大満足時間を過ごしたわたしを、帰りはおばあちゃんが見送ってくれました。これからも末永く歴史を重ねてくださることをこころから願うばかりです。“ごちそうさまでした。”