

2019.11.07
見逃した作品と言うのは、いったいどれくらいあるだろう。タイミングやらさまざまな事情で公開時に見逃してしまうことが多々ある。残念なことに、そう言うものに限って傑作が多い。映画をスクリーンで観る事はわたしの絶対条件で、どうしようもない映画ファンとしての拘り。昔の作品を含めDVDで鑑賞する事は可能だが、なかなかそれを許さない自分がいる。そんな中、続いている“午前十時の映画祭”はわたしに取っては救いの神。今年で終るという情報を聞いていますが、断固反対です!!これからもズ~~~っと続けてこださい、お願いします。m(_ _)m
そんでもって今日は“テルマ&ルイーズ”を観に錦糸町へやって来ました。1991年に公開されたアメリカ映画で、名匠リドリー・スコットが監督しその年のアカデミー賞とゴールデン・グローブ賞の両方で脚本賞を授賞した作品。「90年代の女性版/アメリカン・ニューシネマ」と称され話題になったと聞く。アメリカン・ニューシネマは60年代後半から70年代半ばにかけて製作された、反対制的な人間の心情を綴った作品を指すもので数々の名作を世に送り出している。俺たちに明日はない」「イージー・ライダー」「真夜中のカーボーイ」「いちご白書」「カッコーの巣の上で」などなど上げたら切りがない。本当に観て損のない、素晴らしい名作ばかりである。
さて、“テルマ&ルイーズ”ですが音楽の使い方などが絶妙で、「イージー・ライダー」や「ファイブ・イージー・ピーセス」「バニシング・ポイント」などが、頭をよぎったのは事実。物語の途中から、ラストシーンがモヤモヤと頭に浮かびはじめ悲惨な終り方にはならないで欲しいとドキドキしていたわたし。蒼い空と乾いた大地が、ふたりの未来を象徴しているかのようで美しい。テキサスの風景と音楽とが相まって強く印象に残る演出がアメリカン・ニューシネマを彷彿させる。ちょっとした間(運)の悪さが、大きく人生を変えることになるテルマとルイーズ。全然違う性格だが、妙に馬が合う。そして、二人とも今の生活に欲求不安を感じている。そんな二人が意を決して逃避行の旅に出る所から物語ははじまる。カントリーの音楽にのリ進んで行くロードムービーは、ある事件を基に二人を呑み込みどんどんと大きくふくれあがっていく。果たして二人の逃避行やいかに・・・。
ルイーズを演じたスーザン・サランドン、テルマを演じたジーナ・デイヴィスが、旅をはじめる前半と終わりを迎える後半では、まるで別人のような表情に変わって行くのが見て取れます。思いもよらない方向へとどんどんと引っ張られ、気がつくとどうしようもないくらい追いつめられている役を見事に演じているふたりが凄い。それでも最期は自分を取り戻したかのようで、ふたりの姿が清々しくカッコイイのである。観て良かったと思う名作に出会いました。二人を追うことになったハル警部を演じたハーヴェイ・カイテルが、いい味を出していてやはり名優です。また、若かりし頃のブラピが重要な役どころで出演しているのも見物です。腹立たしいほどイケメンでした。
この作品は何もかもがカッコいい、観といて損のない映画ですので、ぜひご覧あれ!!
P.S. ラスト、二人のキスシーンがとても綺麗でした。ちなみにこのラストシーンは、スーザン・サランドンのアドリブだったらしい。これは同性愛を表した訳では無く、同士としての絆を表現したものと語っています。