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よもやまシネマ471 “午前十時の映画祭/時計じかけのオレンジ”
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2019.10.21

スタンリー・キューブリックの名を知らない映画ファンはまずいない。完璧主義者で知られ、映画製作に対する拘りは類を見ないものだったらしい。それほど多くの作品を世に残してはいないが、そのほとんどが映画史に残るものばかり。中でも有名なのは“2001年宇宙の旅”、そして今回観た“時計じかけのオレンジ”である。2本とも近未来を想像した作品だが、切り口の全く違うその豊かな創造力に圧倒される。プロデューサー主導のハリウッドを嫌い、アメリカを離れイギリスで生涯のキャリアを送り、前二作+“博士の異常な愛情”はSF三部作として世界中の評論家から映画作家として優れた才能を高く評価された。実は今回初めて“時計じかけのオレンジ”を鑑賞したわたし。公開が1971年だから、今から48年前の作品である。当時17歳だったわたしにこの作品が理解できたかは、はっきり言って自信がない。“2001年宇宙の旅”も当時観たが正直夢心地の中、ただひたすらその映像に魅了され唖然とした印象だけが残ったのが事実。年を重ね経験を重ねる事により、自分なりの解釈をするようになり、確実にに凄い作品だと感じるようになった。キューブリック監督の作品はどれもそうだが、根底に普遍的な倫理観のようなものを描いているような気がする。今回観た“時計じかけのオレンジ”は、人間の内に秘めた非人間性を大胆さと繊細さを掛け合わせ、風刺を込めて創られている。R指定の作品だが、きっと当時は18歳未満お断りの映画だったと思う。かなりきわどい性描写や暴力シーンが多い。いまでこそ普通に表現できる時代にはなったが、当時はきっとかなりセンセーショナルだったに違いない。原作も凄いと思うが、48年も昔にこんな作品を創り上げたことに改めて驚愕する。“2001年宇宙の旅”もそうだが、ぜんぜん古さを感じません。むしろ新しい感じさえしました。数多いる名匠の中にあり、ある意味天才かも知れません。劇中で前編のほとんどにクラッシックの曲が流れ、斬新な映像と重ねる事により独特な雰囲気を創り上げています。ともすると目を背けたくなる描写でも、何となく上品なテイストへと変わってしまう監督のセンスが溢れています。そんな中で唯一ミュージカルナンバーの「雨に唄えば」が、絶妙なタイミングで使われています。ここも外せないシーンではないでしょうか?当時のサイケデリックファッション時代が映し出され、現代アートなどが画面から溢れ懐かしさで一杯になりました。キューブリック監督って、遊び心がありヒッチコック同様作品の中に何か(なぞなぞの痕跡)残すのが好きなひと。有名なのは“2001年宇宙の旅”の中に出て来るコンピュータの名称がHALという語源の話。当時最先端を行くコンピュータの開発事業会社と言えばIBM。アルファベットの並びでIの前はH、Bの前がA、Mの前がLと、先を行くコンピュータであることをさりげなく表現したものだと昔、大好きな淀川長治さんが言ってました。今回も見つけちゃいました。主人公のアレックスが今で言うモールを闊歩し立ち寄る音楽店のレコードラックの一番前に「2001年宇宙の旅」のレコジャケ。こんな事に気づくと、なんか得した気分になるのはねぜでしょう???これってわたしだけ???
P.S. アレックスを演じたマルコム・マクダウェルはこの映画で高い評価を得一躍時の人になったと聞く。だが記録を読むと本人はこの役のイメージが強過ぎて、何かにつけアレックスの個性がついて回りへ奇癖として10年もの間作品すら観なかったらしい。いまは作品の凄さを誰よりも理解し、それを誇りにしているとのこと。俳優さんって、ホント大変ですなァ~~~。晩年の作品“シャイニング”“フルメタル・ジャケット”“アイズワイド・シャット”ぜ~~~んぶ観ましたが、やっぱ“2001年宇宙の旅”そして今作“時計じかけのオレンジ”は別格の作品と改めて感じました。是非ご鑑賞を・・・。
by eddy-web | 2019-10-21 00:00 | よもやまCINEMA(映画の話) | Comments(0)
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