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よもやまシネマ470 “蜜蜂と遠雷”
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2019.10.15

2017年に直木賞と本屋大賞をWで受賞した、恩田陸の傑作小説“蜜蜂と遠雷”。累計発行部数は150万部超え、いまなお読者が増え続けている小説の映画化。残念ながらわたしはこの作品を読んでおりません。そんな中、映画を観に・・・。率直な気持ちを言いますが、映画を見終わった瞬間、この小説をすぐ読みたいという衝動に駆られました。それは難しい音(クラシック)の世界観を題材にした小説を、あまりにもにも見事に映像化していていたというのが理由。そしてそこに描かれた音の世界を、いったいどんな風に言葉で表現していたのだろうという興味が強く湧いてきた。4人の主人公がピアノコンクール(クラッシック)で出会い、そしてこころが音で繋がる物語が“蜜蜂と遠雷”である。映画化は不可能とまで言われた物語は、石川慶(監督・脚本・編集)と多くのクリエータースタッフにより、見事に映画として命を吹き込まれました。音楽の中でもクラッシックの世界は、凡人のわたしにはとうてい解らないもの。作品の中で主人公のひとり明石(松坂桃李)が「・・・悔しいけど、俺にも解らないよ・・・あっちの側の世界は」という台詞が印象に残っています。これは自分にも重なるのですが、それ以上の意味を持つ言葉。少なくても明石はそっちの人で、わたしとは比べようがないほど音楽を理解している人間である。天才と呼ばれる人たちは、天が選んだ一握りの者だけ。そんな人たちにしか解らない世界は本当にあるのだろうなぁ~と思うのと同時に、この作品は音を通して結ばれた純粋なこころの優しさが伝わる感動作に仕上がっています。主人公4人の感性がぶつかり合い、そしてハーモニーを醸し出す様は、五感を大いに刺激しこころを揺さぶります。聴くという世界を観せるという世界に変えるのは、相当難しいことに違いない。だから、映像化は不可能と言われていたのだろう。だが今作はそれを見事にやってのけています。抽象的な表現も出てきますが、ある意味挑戦ともとれる表現で、わたしには心地よいものでした。と言う訳で、とても感動した作品のひとつになりました。そこから出たのがはじめに言いました、原点回避で小説(文章)で、いったいどんな風に音を表現しているのだろう?と好奇心に火が付いたという訳です。長い説明になりましたが、間違いなく原作も良いに決まっているでしょうが、自身ではやく確かめたいと思うわたしです。印象に残るシーンは沢山あるのですが、亜夜(松岡茉優)と塵(鈴鹿央士)月明かりの下で連弾をするところで、何故か涙が止めどなく流れ感情を抑えきれませんでした。ピアノの音色に反応したのは間違いのないことですが、とくに泣かせるような場面の演出ではありませんでした。ただ2人の爽やかな(*^o^*)が音に被さり、胸に染みたのは間違いありません。2人にしか解らない糸が結びついた瞬間を感じました。こんな仲間がいたら最高ですね!
P.S. 紅一点の主人公・栄伝亜矢を演じた松岡茉優さん、マジ良いです。憂いを秘めた表情がなんとも言えず素敵です。ここのところ映画に立て続けて出ていますが、いつも心に残る芝居をみせてくれます。近々公開の“ひとよ”も今から楽しみな一本。これからが楽しみな女優さんです。他の3人、松阪桃李、森崎ウィン、鈴鹿央士(新人)もそれぞれの役を見事に演じ、4人の対比が素晴らしい物語を紡ぎ出したくれました。大拍手です。脇を固めた俳優さんたち(斉藤由貴・鹿賀丈史・片桐はいりなど)も見事でした。本編では英語での台詞のやりとりも多く、洋画でも観ている感じにもなりましたが俳優さんたちの凄さを知る事ができました。
※ピアノの旋律に久しぶりに酔いしれ、ほろ酔い気分になりました。音楽を聴いてはじめて涙した日がふっと頭に浮かびました。マル・ウォルドロン(ジャズピアノ)のレフト・アローンがその曲。40数年前に聴いた時、なぜが溢れ出る涙を止める事が出来ませんでした。いまでも解りませんが、とても静かな気持ちになれたことを覚えています。


by eddy-web | 2019-10-16 00:00 | よもやまCINEMA(映画の話) | Comments(0)
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