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よもやまシネマ463 “午前十時の映画祭/ベニスに死す”
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2019.9.11

没後43年、イタリア映画界の至宝と呼ばれた名監督の1971年度作品“ベニスに死す”を鑑賞。巨匠ルキノ・ヴィスコンティは1942年“郵便配達は二度ベルを鳴らす”で映画監督デビューを飾り、1976年最期の作品“イノセント”まで14本の長編作品を残した。手がけた作品は常に高い評価を獲得しイタリアを飛び越えヨーロッパ文化の至宝とまで言われた人物です。貴族(伯爵)出身の監督は、まさに彼が描く貴族社会の中で育ち14世紀に建てられたお城に住み幼少期から芸術に親しんで育ったそうである。作品に描かれる絢爛豪華な世界観は、自身の経験から滲み出る優雅さにほかならない。他のだれもがまねの出来ない独特の映像美と芸術性に富んだ作品は、唯一無二の存在である。
“地獄に堕ちた勇者ども”あたりから初めて作品を観ているが、言葉では説明できない独特の雰囲気(世界観)がいつも滲み出ていて何とも言えない気分にさせられる。難解な内容が多く、観て味わうと言うよりは五感で感じるというようなそんな作品が多い。舞台演出家でもある監督は時代背景に合わせ舞台美術や衣装などとことん拘り、そこだけ観ても圧倒されるクオリティの高さである。一般向けのエンタメとはほど遠い、時間もお金もさぞやかかっただろうと観れば一目瞭然の作品ばかり。
初めて今回“ベニスに死す”を鑑賞したが、彼の作品の中でも“ベニスに死す”は特質して、観た後に何とも言えない感覚が全身を駆け巡るものだった。シュールな映像表現とマーラーの交響曲第5番を使った演出は、催眠術にでもかかったような感覚で身体を抉られる。この感覚はいままで一度も味わった事のない感覚である。これは観て感じてもらう他に手はないと思える、説明不可能な作品である。もはや映画と言うジャンルを飛び越えてさえいるような、そんな気さえする。晩年の作品“ルートヴィヒ”“家族の肖像”“イノセント”も難解だったが、それ以上の感覚的作品である。いつも美形の男が登場し、狂おしいばかりの耽美的な世界を描き出す監督は、この作品でもビョルン・アンドレセンと言う美少年を世に送り出す。物語に登場する美少年タッジオは確かに美形である。男に興味がなくても、その美しさ(男女を超えた)には目を奪われる。物語の主人公、老作曲家アッシェンバッハ(ダーク・ボガート)が、一目でこころを奪われてしまうのは必然かも知れない。物語が進むにつれ知らず知らず自身がアッシェンバッハになっていることに気づきます。会話もほとんどなく、彼の姿を美しいイタリアの風景に溶け込ませ淡々と進む物語。アッシェンバッハの押えきらないこころの動きが、マーラーの交響曲第5番の第4楽章「アダージェット」と重なり胸を締め付ける。美しいものに触れると、人間はこうも自身を失うものなのか?と思えるが、なんだか解るのが不思議である。みなさん、面白い映画も良いですが、こんな作品に触れるのも新しい発見かも知れません。一度足を運んでみてはいかがでしょうか・・・。
P.S. 監督は理想の美のシンボルとして、タッジオ(ビョルン・アンドレセン)を描いてみせた。監督は「バイセクシュアル」であることをオープンにしているのは周知の事実。他の作品に起用したアラン・ドロン、ヘルムート・バーガーも超が付く美形である。起用した俳優さんたちへの感情が、この作品のアッシェンバッハと重なり甦って来る。監督の生い立ちや、育ってきた環境が感性を培い、この偉大な芸術家を生んだのかも知れません。


by eddy-web | 2019-09-11 00:00 | よもやまCINEMA(映画の話) | Comments(0)
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