銭湯探訪43
黄金湯(墨田区大平)
2019.8.16錦糸町は昔から馴染みの深い街。小・中通して子供だったわたしには、大人の人たちが遊ぶ場所というイメージが強かったところ。高1の頃、友人と恋愛映画“個人教授”を観に行き、私服の警官に呼び止められた事がある。月曜日だったので、間違いなく学校をさぼった不良に観られたのだろう?文化祭の代わりで休みになり、それを利用しての映画鑑賞だということを説明した訳だが・・・。その時はもうドキドキで、何を言ったかさえ思い出せない。今思うと忘れられない青春の一コマ。今だから言いますが、実は嘘をその時つきました。丁度その時、三船敏郎の「山本五十六」がやっていて、それを観に来たと思わず言ってしまったのだ・・・。自然に出たのだが「個人教授」を観に来たと言えるほど、大人にはなっていない小心者だった自分。いまではそれも笑い話のひとつです。

さて、“黄金湯”は蔵前通りを渡り2本目の道を右に入った路地裏にある銭湯。マンションの1階にある下町銭湯のひとつ。入り口に「黄金湯」の看板が掛かっていないと、ただのマンションである。中に入ると珍しく若い男性が迎えてくれた。若旦那さんでしょうか?(*^o^*)が素敵な優しい感じが好印象です。銭湯の造りはごく普通の感じだが、洗い場に足を踏み入れると何故か温泉のような薫りが・・・。

調べると地下水を汲み上げ、薪でお湯を沸かしているとのこと。柔らかい肌触りのお湯は、ちょっと温めだが気持ちいい。お客さんは間違いなく常連さんたち。地元に根付いた銭湯といった感じで庶民的。目についたのが、湯舟の後に貼られた壁新聞。毎月書かれているらしく、季節感を感じさせる内容につい読み入ってしまいました。きっとさっきの若旦那が創って入るのだろう。頑張ってますねぇ~!良い感じです。コミニュケーションを大切にした、銭湯ならではの工夫がなされ共感を呼びます。ここは、この日も洗い場を使いコンサートが開かれたらしい。銭湯を知ってもらうための創意工夫が色々と考えらえられ、若旦那の前向きな姿勢に拍手です。お湯を楽しむ時代から、地域交流のイベント会場として人と人との新しい繋がりへと変わる時代になりました。