2019.8.11
猛暑お見舞い申し上げます。いやぁ~ぁぁ、ホントに今年は暑い。外に出るのを躊躇させるほど、厳しい暑さが続いていますがこんな時こそそとのに出て夏を感じましょう。と言う事で、映画館に足を運びました。
毎年8月に入ると戦争をテーマにした作品が、映画やTVなど多くのメディアで取り上げられる。そんな中公開された“アルキメデスの大戦”に引かれ鑑賞に出かけたわたし。今作品は、三田紀房による漫画が原作の映画作品。今までに無い発想の物語は、戦争の愚かさと矛盾を考えさせられる。そして日本人の性みたいなものが、浮き彫りにされ、グイグイと物語に引き込まれてしまう。今までも多くの戦争作品が創られて来たが、漫画が持つエンタメの可能性が最大限に生かした新戦争表現映画ではないでしょうか? 2005年に公開された“男たちの大和”は記憶に新しいが、この時も戦争の愚かさと、人間が行った愚行を感情に訴え架ける内容で涙を誘った。だが観ようによってはエゴ色が濃く、戦争の本質からすこし離れた感じは否めない。バトルシーンが戦争の悲惨さを表現するのに必要なのは解るが、まるでゲーム感覚で描かれるのには正直違和感を感じざるを得ない。2014年に公開された“野火”を観た時、そのリアルさに戦争の中にある、人の心を壊すエネルギーの強さと怖さをまざまざと感じたことを思いだす。世界中に名作は多いが、本当の怖さはどれほど伝わっているのだろうか?いまだに争うことを止められない人間たち。いつも犠牲になるのは何の罪も無い人々。戦争映画を観る度に考えさせられるのだが、その後が見えてこない。それでも観なければいけないのが、戦争作品なのかも知れません。何故なら戦争から生まれるものは何もないから・・・。何を言ってるのか、なんだか話しがとっちらかってしまいました。
話しを“アルキメデスの大戦”に戻します。歴史事実をベースにして、新しい切り口で戦争の断片を切り取った作品は正直面白い。面白いと言うと語弊があるが、こんな角度で戦争批判をする発想に驚かされたわたし。山本五十六海軍少将(この作品内)など、実在の人物が多く描かれているが、過去の作品と比べるととても近しい感じの演出で親近感を覚える。会議の席での個人的感情をむき出しにした、のの知り合いの場面では思わず失笑してしまった。まさかこんなやりとりがあったとは思えないが、ある意味人間味を感じさせるものでした。と同時にこんな感じで本当に戦争が行われた???とは思えず、そこからはエンタメ映画として最後まで物語りを楽しんだ。戦争の記録は多く残っているが、日本やアメリカが残すものにはかなりの食い違いもある。そこが映画では描ききれない事実の難解さである。ただそこを逆手に取って創造の中から生まれる内容が、これほど見事にはまった作品は他にないかも知れません。大和の構造上に問題ありと唱え、戦争を回避しようとした人間がいた、というフィクションがとても魅力的に描かれています。時間を忘れ最後まであっという間に進み、最後はやはり空しさを感じさせ知らず知らず戦争の愚かさを考えさせられます。それは、ある意味成功した作品ではないだろうか?わたし自信はとても満足のいく作品でした。
P.S. だれもそんなこと思わないと思いますが、この作品で一番感じたのは人間(日本人)の中に潜む業の深さである。主人公の櫂(菅田将暉)は数学者であり、山本五十六は間違いなく軍人でどんなことが起きてもそこはぶれないという事実。良くも悪くも人間の本質が描かれ、そんな業がぶつかり合い世界は動いていると言う事である。今も・・・。負けると解っていることでも、前に進んでいた時代が儚く哀しい。田中民さん演じる平山造船中将に「日本の象徴・大和」を君はその目で見たくはないか?」と言われた、櫂の表情はこの物語の肝である。オニちゃん頑張ってます、ぜひご覧あれ!