銭湯探訪41
タカラ湯(足立区千住元町)
2019.8.12
以前から絶対に行こうと思っていた聖地“タカラ湯”に、ようやく足を運ぶ事が出来た。前々から一度は行かないと、銭湯好きとは決して語れないと思っていたわたし。最近東京メトロの社内CMで、石原さとみちゃんが北千住を紹介していてその中でメインとも言える扱いで紹介されていたのが“タカラ湯”。あれを観てからますます往きたい感が増長し、寝ても覚めても“タカラ湯”のことが頭から離れない日々。遠いという事もあり、しっかりと計画を立て行こうと考えていたがようやくチャンスが・・・。日曜日だが今日はお盆休みで、稽古が休み。家族は田舎に帰省しのんびりひとりと言った所だが、そうは行かないのがわたしの性格。満を持して「いざ、鎌倉へ!じゃなくて、いざ、タカラ湯へ!!」。千住からバスに乗り千住桜木町へ。バス停からは歩いて2~3分、ようやく玄関前に立ったわたし。

堂々とした佇まいに思わず見とれてしまい、写真を撮りまくってしまったミーハーな自分。これが「キングオブ縁側」か?とまだ、縁側を観てもいないのにひとり悦にいってしまった。中に早速入ると、いきなり緑の庭園が目に飛び込んで来た。いままで数多くの銭湯を訪ねたがこれぞ「キングオブ縁側」の名にふさわし造りと優雅さ。行き届いた庭の美しさが目を釘付けにする。縁側に腰掛け、風に吹かれながら煙草をくゆらすお客が・・・。お湯を楽しむだけでなく、その後のゆったりとした時間を楽しむのもお風呂の醍醐味。ここはそれを120%満足させてくれる場所のようだ。余に見事な調和に着替える事さえ忘れ、中を見て回ってしまった。きっと怪しい男に見えたに違いない。それでも好奇心を抑える事が出来ず、隅から隅まで目の中に焼き付けるべく散策。15分くらいたっただろうか、やっとのことで浴場へと足を入れ洗い場を確保。日曜だからか、夏休みだからなのかびっくりするほど客が多い。常連さんはもちろん、若い人が多いのにはちょっと驚いた。近くに大学のキャンパスなどがあるのは知っていたが、これほど若い人を見かけた銭湯は今までない。みんなそれぞれに、お風呂を楽しんでいる感じがとても嬉しい。そう言えば入り前、縁側のベンチに腰掛け上半身裸で小説(単行本)を読みふける青年の姿を観た。とても絵になっていました。

洗い場の中も広く開放感でいっぱい。全体の配色が薄いピンクの塗装は珍しい気がする。大体は青(水色)と白でまとまった銭湯が多くそれが一般的である。意識しての事なのかは解りませんが、優しい感じで落ち着きます。湯舟もいろいろ揃い、満足感を得る事が出来る。一番嬉しかったのは、水風呂の存在。長湯な私にはもうたまらないサプライズ。サウナもないのに、ありがとうのひとこと。お陰さまで、何度もお風呂に浸かって暖まり、そして水風呂で身を引き締めること数十回。最高な時間を頂戴致しました。その名に違わぬ見事な銭湯「キングオブ縁側」に乾杯(完敗)です。縁側どころか、全部が素晴らしいこれぞ日本の伝統とさえいえる日本文化の象徴ではないでしょうか?死ぬまでに一度は行くべきお風呂屋さんです。ぜひ、一度足を運びましょう。損はしませんよ!!
※昭和13年築の建物は二段構えの千鳥波風宮造り。入り口上部には、細かい細工が施された畳一畳分ほどの「七福神」の見事な彫刻が飾られお客を向い入れてくれます。