2019.7.22
日本映画歴代興行収入が第2位になった前作“君の名は。”から3年。新海誠監督の最新作“天気の子”が公開されました。長く続く梅雨空から逃れたくて足を運んだ劇場だったが、スクリーンの中の世界は現実がそのまま移ったようで不思議なものでした。これって狙って創り公開されたのなら、まさに未来を予見しているということ???
新海監督のピュアな世界観は年齢や性別を超え、全世界の人のこころに届くものばかり。そして何よりもそのピュアなこころを映し出すかのような美しい映像美の世界は、ジブリともひと味違う味わいをもち何か懐かしささえ覚える異空間を感じさせる。今回もその世界観が溢れ出し、スクリーンに引き込まれる展開が続く。そして気がつくと目から涙が溢れていた。何だか“君の名は”でも同じ感覚を味わったのだが、大切な落とし物が出て来た感じがするのは何故だろう・・・。監督の創造力にはいつも驚かされるばかり。観る前に“君の名は”のイメージが強く残っていて、なにか同じような展開ならないかと勝手に妄想していたのだが・・・。
決して「万事、メデタシ、メデタシ」で終らせない終焉に、とても共感がもてました。自然を舐めてると、本当に現実になるかも、いやなってもおかしくない時代ではと思いました。運命に逆らわないで強く生きる事の意味を解いているような、そんな作品にいろいろな思いが駆け巡りとても良い時間を貰いました。
池袋をはじめ、東京のさまざまな風景がスクリーンの中に登場しますが、そんなカットのひとつひとつがとても懐かしく大切な人生の1ページになっていることに気づきました。青春真っただ中だった頃の高島平。こころを時めかせていた頃の桜台。蒼かった頃の神津島。どの風景もいまの自分にとっては、なくてはならない心象風景である。新海監督の作品の素晴らしさは、描き出すこんな風景画が自分の心象風景と重なり思いださせるところなのかも知れない。こんなに美しい映像を創り上げる作家はそうそういない。デビュー当時から定評のある表現力の高さは、カットカットを丁寧に描きあげ細部にわたる緻密な美への拘りが感じられファンのこころを掴んで離さないのだろう。風景だけ観ていても充分癒される映像に今回も大満足のわたし。こんなに綺麗な絵を創り上げられる監督が羨ましいです。きっとこころも綺麗な方なのでしょう。みなさん大好きな人を連れて、劇場に足を運びましょう。
P.S. はじめに“君の名は。”が興行収入第2位だったことを書きましたが、ちなみにアニメファンならみな知っていることですが、1位が“千と千尋の神隠し”3位が“ハウルの動く城”4位が“もののけ姫”と圧倒的な強さを誇るジブリ作品たち。ここに割って入ったのだから、新海誠監督の凄さは折り紙つき。ただ、興行成績がすべてとは思っていないわたしで個人的には沢山好きなアニメ作品があり、こんど独断と偏見に満ちたベスト10を発表したいと思います。それにしてもアニメ作品の勢いの凄さにはびっくりです。