銭湯探訪37
日の出湯(中央区佃)
2019.7.9久しぶりにちゃりんこを走らせ、佃島にある銭湯を訪ねた。佃島と言えば「佃煮」。全国各地に類似した煮物があり、佃が元祖なのかは定かでない。ただ、本能寺の変が起きた頃に徳川家康を助けたとされる大阪佃村の村人を、江戸を納めた家康が呼び寄せ、土地と漁業権を与えたという話。そこから佃島という名がついた事は間違いなく、その漁師たちが保存食として作っていたのが佃煮とされている。このあたりの歴史を探ると面白い発見があるかも・・・。

実は昔、雑誌広告の仕事で佃煮の老舗「天安」さんを取材した事がある。そのそばに今日訪ねた“日の出湯”さんがあることを知り、懐かしさに引っ張られるように佃の街まで来てしまったわたし。細い路地を抜けるとそこは突然現れ、まるでタイムスリップでもしたような気分になる不思議な空間が広がる。お風呂屋さんの裏手に出ると煙突がどんと現れ、わたしを迎えてくれた。手前には堀があり、朱赤の欄干が綺麗な「佃小橋」がまるでレッドカーペットのような風情で誘う。これだけでも充分満足出来る景観である。

表にまわりいざ、男湯へ。古びたマンションの1階が入り口で左に女、右に男と分れた入り口。中は昔ながらのレトロ感で溢れ、脱衣所はやや狭いくあちこちに荷物のようなものが点在し雑然としていた。そこらへんはメチャクチャ庶民的でなんだかホッとする。浴室の中も手狭ではあるが、浴槽に平行する形で3人並びのラカンが5列並ぶ。初めて経験したレイアウトである。内装は絵などはまったくなく、ただ白い壁で覆われ殺風景というかシンプルというか、初めての雰囲気である。浴槽の壁に左から「ぬるい湯」「中くらいの湯」「熱い湯」と書かれたプレートが貼ってあった。しっかりとお湯を楽しみ、帰りの時間を使って佃の街を探索。至る所に歴史を感じる江戸情緒があり、なんだかとてもゆったりとした時間を過ごした。ここに住んだ事もないのに、何故かとても懐かしい感じのする所でした。(路地裏で見つけた井戸)