

2019.7.05
蜷川幸雄の秘蔵っ子だった俳優・藤原竜也と、その娘の監督・美花さんが組んで創り上げたエンタメ作品“Diner"を鑑賞。予告編では派手な舞台美術のセットを、破壊する銃の乱射映像が映し出され感性を刺激されたわたし。物語は奇想天外、支離滅裂な話だが、2人のコラボはやはり見応え充分。まさに百花繚乱ならぬ、百花狂乱の演出で面白いとかいう次元ではない感覚映画になっている。へんな話感覚で観る作品で、理屈を追う人にはついて行けないかもしれない。きっと賛否ははっきり別れる作品である。公開初日に劇場に足を運んだのだが、どんなひとたちが鑑賞するのかと会場を見渡すと年齢層はばらばら。ここだけの話ですが、3分2くらいまで、話が進んだあたりで大きなイビキが聞こえ「オイ!オイ!!」って感じになりちょっとイラッとしました。さっき言いました、きっとこの人は作品について行けなかったひと。こう言う作品は評価するのが難しいです。美的感覚は研ぎすまされ、映像の美しさは類を見ない新感覚なもの。ある意味芸術性が高過ぎて一般人には、ちょっと難解かも知れません。これは差別的物言いではなく、製作側の思い入れが深く、その思いが空回りした感じになったような気がします。あくまでもわたしの私感ですが・・・。故蜷川さんへの鎮魂歌的表現には間違いなく、映画全体のテイストはまさに舞台を意識した演出。主役の藤原くん以外の出演者たちも少なくとも蜷川幸雄さんに影響を受けている俳優さんたち・・・。個性を前面打ち出し、脚色されたそれぞれの持ち味がぶつかり合い、それは贅沢な作品である。殺し屋が集まる食堂なんて、いったいどこにあるの?なんて言ってるような人は置いてけぼり状態間違いなし。既成概念の枠を取っ払って、舞台美術を楽しんだり、はでなアクションシーンを楽しんだり、はたまた個性がぶつかり合う芝居を楽しんだりと・・・。いろいろな角度から好みのところを選んで、食するのがこの映画“Diner"ではないでしょうか?ヒロイン役のオオバカナコを演じた玉城ティナさんが、凄い面々に囲まれながら本当に怯えているのではと思ってしまった。それは物語とは別次元の話で、周りの俳優さんたちの高い演技力+飛んでる演技とその凄みに圧倒されてのことかと・・・。彼女にとっては、メチャクチャ勉強になったことと思います。まるで本当のお人形さんみたいな顔立ちと無機質な雰囲気は、逆に唯一無二の存在として浮かび上がり良かったです。「大バカな子」という説明が出た時は、結構笑えました。本当は良い子でしたが・・・。
P.S. 藤原竜也くんがエキセントリックな芝居が思う存分に発揮された作品に仕上がっていますが、最近の彼が出る作品はわりと癖のある役ばかりで上手いのは解るが、ちょっと違った彼の芝居、例えば全然しゃべらない演技なんてやつを私は観て見たい気がする。贅沢な話でしょうか?