銭湯探訪35
草津湯(荒川区南千住)
2019.5.11
千住道場の帰りふと思い立ち、南千住の駅で降りたわたし。月がとっても綺麗な夜で、思い出したかのように途中下車。前に調べていた記憶を辿り、“草津湯”を探してみた。駅からほど近くにあるのは知っていたが、さすがに降りた事のない場所の上、駅からすこし入った路地裏は感だけがたより・・・。途中、中学生らしき2人を見つけ声を掛けてみた。「この道を真直ぐ行って、右に入ったところです。」と教えてくれた。無事目的地の“草津湯”さんに到着。
玄関の明かりが妙に優しくみえ、吸込まれるような感覚を覚えた。入り口に猫が1匹、まるで「お帰り!」と言ってるかのように迎えてくれた。レトロ感溢れる風情で、下駄箱も昔のまま。“草津湯”という名がちょっと気になり、前から一度訪ねてみたかった銭湯。その由来は解らないが、昭和のお風呂屋さんの雰囲気は私好み。中に入ると番台に女将さん。いつものようにスタンプを貰ったがなかなかの出来のデザイン。結構銭湯を回っているが、絵入りのスタンプにはなかなかお目にかかれない。だから、そんなスタンプを貰うと駄菓子屋で当たりくじを引いた時のような喜びが沸き上がる。これも巡礼の楽しみである。番台の様式も減り、見上げながらの支払いなどちょっとしたところにも懐かしさに触れる事が出来る。歳を重ねたことをつくづく感じる瞬間である。浴場に入るといつもながらの光景が、目に飛び込む。大きな富士山が両手を大きく拡げ迎えてくれた。女湯と男湯を股がり仕切りの壁の真ん中に深い蒼色の富士山が洗い場を見下ろす。まるでわたしたちを抱きかかえているような雄大さだ。湯舟はシンプルな2層式。片方はバブル、そしてもうひとつは2タイプのジェットバス。このジェットの片方が半端なく強烈で、しっかりとパイプを捕まってないと前に持って行かれる。ただ、その気持ち良さったらもう溜まらない。自分でスイッチを入れる形式で、時間にするとたぶん1分くらい。何度も何度もスイッチを入れそのマッサージ効果を満喫したわたし。もちろん他にお客さんがいなかったからの暴挙。遠くから来たので、許してください。身も心もすっかりほぐれ、月に見送られながら帰路の電車に飛び乗った・・・。時間は夜10時をまわっていました。