

2019.2.18
第91回アカデミー賞9部門でノミネートされている話題作”女王陛下のお気に入り“を鑑賞。話題作ではあるが、正直この手の作品は余り好んで観るジャンルではない。簡単な動機としてあげるなら、出演しているエマ・ストーンが観たかったという理由。昨年“ラ・ラ・ラ・ランド”で見事主演女優賞を獲得し、いま乗りに乗っている女優である。”スパイダーマン“や”バードマンあるいは~“でなんて瞳の綺麗な女優さんなんだろうと思ったわたし。あれよあれよとハリウッドを代表する俳優になってしまいました。美しさに演技力の高さが加わり、紛れもない実力派女優となりました。まだ30歳という若さですので、これからも目が離せません・・・。
さて、感想です。先ほども言いました、あまり好きなジャンルと言えない作品のテイストではありましたが、知らず知らの内に物語の中に飲み込まれていたわたしです。18世紀初頭のイギリスが舞台の物語は、女王アンと関わる女二人による権力争いが軸となり進んで行く。フランスと戦争状態にあったイギリスを背景に、その裏で繰り広げられる愛と欲望のドラマは、英国版大奥物語と宣伝されていました。観れば確かにそうかもと思わせるが、やはりそこは文化の違いが出ていて興味は尽きない。まずはその贅沢な舞台美術や衣装など、当時を再現したクリエイティブな制作に圧倒され息を呑む。アカデミー賞の最有力に上がるのは当然と言っていい豪華絢爛の世界が写し出されています。これだけでも観る価値は充分と言っておきます。あと、音楽(バロック)がその時代を象徴するかのように流れ、時に皮肉に、そして時に滑稽な場面で使われ、絶妙に映像とマッチングしています。当時の貴族階級の暮らしが浮かび上がり、戦争という背景がまるで嘘のよう。でもきっとこれが現実だったのでしょう?もちろん映画ですから、多少なりと誇張はあるとは思いますが・・・。
そんな贅沢極まりない世界を舞台に繰り広げられる女たちの戦い。男としての意見ですが、「女性は本当に恐て、理解不能」という事実。よく逆のことを言われますが、きっと男と女っていう生き物はそんな距離をず~っと抱え「愛だの恋だの」と言って付き合って行くのでしょう???あれっ!何か変なことを言ってしまいました。聞き流してください。
主人公の女性三人の芝居が凄すぎます。言葉には出来ない迫真の演技で、圧が凄いのひとこと。アン王女を演じたオリヴィア・コールマン、権力闘ちせ争を繰り広げる側近のサラを演じるレイチェル・ワイズともう一人の従妹アビゲイルを演じるエマ・ストーン。三人三様の強い個性がぶつかり合う様は、野次馬根性や覗き見思考を多いに刺激する。悪趣味だとは思うがそこがこの作品のテーマではないでしょうか?このひとたちから観たら、男なんてカス同然。映画はそんな感じで男たちの稚拙な振る舞いを誇張し髀肉って描いています。どんなに高貴世界に生きて、何不自由なく見えても幸せとは限らないことや、人間が持つ自己顕示欲の奥深さには限界がないことが解ります。すべてのひとがこのレベルではないにしろ、きっとどこかに秘めている感情なのかも知れません。勉強になりました。作品を見終わった後、何かモヤモヤとした感情が残り「あの時の怒りはなんだったのだろう?この時の涙は何だでったんだろう?」とひとりモンモンと時間を過ごしました。結局答えは見つかりませんでしたが、観たひとに聞ける機会があれば聞いてみたいと思います。形はどうであれ、どんな意味でもこころに残るのは、傑作と呼べるものではないでしょうか?みなさん観て、意見を聞かせてください。
P.S. エンドロールに流れる製作スタッフなどの、字幕の文字配列が上品で美しく最後まで拘って創りあげていることに感激をしました。