

2019.1.28
みなさんご存知であると思いますが、劇場のサービスにポイントカード制度があります。点数が溜まると映画が無料で見られると言うやつ。結構得した気分になるものですが、わたしはこれを使う時のルールを決めています。前に話したことがありますが、映画鑑賞は絶対に映画館、そしてポイントを貯めタダで観るのは基本自分では見ないタイプの作品を・・・。シニア料金で映画が安く観られるようになり、充分幸せ感を味わっているのですが、本当に嬉しい限りのサービスです。
さて、今回はそのサービスを利用しての鑑賞。作品は日本映画“12人の死にたい子どもたち”。予告編を観たとき、まずタイトルが気になったのが鑑賞の理由。想像するにちょっと暗いテーマだが、何やらサスペンスの様相が漂い五感を刺激されました。若い俳優さんばかり出ている作品ですが、気になる俳優さんも何人か出ています。見終わっての感想ですが、まずは出演者の俳優さんたちが頑張って演じていたことに共感しました。タイトルで想像はしていたが、自殺願望を主題に殺人ゲームでもはじまるのかと思いきや予想は見事に外れました。12人+1人の若者が、サイトを通じて集まり、集団自殺をしようとする話だが・・・。12人のはずが+α(それも死んでいる)という所から話がはじまる。それぞれに抱えた問題を隠し、集まった若者男女12人。そこに突然見知らぬ死体となれば、まさにアガサ・クリスティの世界が見えて来る。勝手にそう思っていたら、実は真面目な社会派ドラマとなっていて、ある意味肩すかしを喰らってしまいました。でも、想像とは違っていても社会の現実を垣間見せられ、考えさせられる大いなるヒントを描いていて面白かったです。物語が進むにつれ、ひとりひとりが抱えるナイーブな悩みや運命が浮き彫りになり、知らぬ間に感情移入をしてしまったわたし。出来れば登場人物たちひとりひとりにもう少し寄り添い、ちょっと突っ込んで描かれていたらもっとよかったのですが・・・。杉咲花が演じたミステリアスな雰囲気のアンリが終盤に発する言葉「わたしなんか生まれて来るべきじゃなかったのよ!」はこころに突き刺さる。また新田真剣佑が演じたシンジロウがラスト近くで、生きたいと思ったこころの動き語るシーンでは涙腺の緩い私はまんまとはまり涙を流してしまいました。かたちは違えど全員が抱える問題に大小はあるが、その重さは計りには掛けられないことが伝わってくる。ひとは誰しも人には言えない悩みのひとつやふたつはあるもの。それが抱えきれなくなった時に、死と言う選択を求めてしまうのだろうか?ひとごとのように受けとめるのかは、観る人自身の問題。ただ、わたしは少なくともこの作品のように、自分だけが苦しいのではなく、皆が何かしらの悩みを抱えそれでも頑張って生きていることを確認できたことが収穫となりました。奇麗ごとに聞こえたらゴメンナサイ、「ひとは生まれたことの意味をみな背負って生きているもの」と信じています。魅力的な若い俳優さんたちの熱演に、大きな拍手を贈りたいと思います。これからの活躍を楽しみにしております。
P.S. 昨年の厚生労働省発表によると、自殺者の数が2万1140人だそうです。にわかには信じられない数字ですが、実際は18万人にものぼるという話も聞きました。交通事故で亡くなった昨年の人数が3532人と聞くと、本当に考えさせられる現実が目の前にあります。みなさんは何を感じますでしょうか?