2019.1.17
“クリードⅠ”の続編Ⅱを観に出かけた。クリードは“ロッキー”シリーズのスピンオフとして次世代の物語が描かれている。Ⅰではロッキーを演じているスタローンが、アカデミー助演男優賞を受賞した。スタローンはハリウッドを代表する男優だが、演技賞には縁のない俳優さんだと失礼ながら思っていたわたし。そして年月を重ねた年輪が重厚感溢れる演技を生み“クリードⅠ”で見事開花し、助演賞の栄誉を手にしました。こころから拍手を贈り、前言を取り消します。“ロッキー”シリーズは映画史に残る作品として、興行的にも大成功を収めた。第一作の“ロッキー”は映画史に残る名作と謳われ評価は高い。テーマ曲も有名でいまも格闘技イベントでは選手の登場シーンに使われ、こちらも不動の人気を誇っています。アメリカンドリームを体現した映画の内容は、シルベスター・スタローンの俳優としてのキャリアと重なり、まさにアメリカンドリームそのもの。ファンの記憶に深く刻まれた作品は、いまも根強い人気を誇っている。
さて、“クリードⅡ”は、現役引退後のロッキーと次世代が紡ぎ出す物語。映画とともに時も流れ、役そのままに年老いたロッキーの姿が映し出される。その表情は穏やかで優しさに満ちている。“ロッキー”シリーズは観客の心に響く、単純明快なストーリーに加えボクシングという格闘技世界を見事に演出し、男たちの本能に火をつけた作品。それと比べると今作“クリード”は家族愛にテーマを移し、格闘シーンはあるものの、登場人物たちのこころの葛藤にメスを入れ、深い人間ドラマとして作り込まれています。ロッキーとの繋がりはあるものの別物として生まれ変り、ちがった意味で感動しました。登場する総ての人たちがそれぞれに抱えてきた苦悩を、ボクシングを通し表現しています。作品は絆の大切さ重さをしっかりと伝え、ジンワリとこころに響いてきます。わたしはこのシリーズも大好きです。
“ロッキー4”を背景にした宿敵との再会とリベンジマッチは、単純な勝ち負けの世界を超え感動を残します。宿敵ドラゴ(ドルフ・ラングレン)も歳を取り、ロッキー同様当時の輝きは失っていますが、存在感はいまも健在。息子に夢を託すその姿はある意味悲しく儚い。見終わった後に、何故か適役であるドラゴ親子に、こころがひかれていたわたし。純粋に闘う男たちの姿は本当に美しいと思えます。
最後に「男って、本当に馬鹿な生きものです」。でも、男として生まれ良かったとこころから思わせてくれるのが、この作品です。子育てに苦労している方、親子で見るのも良いかと思います。ぜひ、劇場に足を運びましょう。