

2019.1.15
あのダークヒロイン“ドラゴンタトゥーの女”リスベットがやっと帰ってきた。第一作ではその特異な風貌に類い希なコンピューターハッカー能力を駆使したクールな行動力で、見る者をスクリーンに釘付けにした。天才ハッカーは全身黒の衣装を纏い、その背中にはドラゴンのタトゥーが彫られ、そして顔の至る所にピアスが・・・。
作品は世界的ベストセラーミステリー小説「ミレニアム」三部作の第一作が“ドラゴンタトゥーの女”。シリーズの原作はジャーナリスト出身のスティーブ・ラーソン氏。このシリーズ作品は、50歳という若さでこの世を去った彼の没後に出版され世界で二番目に売れている小説家となったもの。
シリ-ズ3作品は彼の母国スエーデンでは、総て映画化されどれも高い評価を得ている。アメリカで製作された第一作“ドラゴンタトゥーの女”が2011年に公開され、今までにないダークヒロインの登場は、映画ファンのこころを掴み大ヒット。あれから8年の歳月が経ち、再びの登場に見る前から期待度はMAX。これはわたしだけではないはず・・・。それほど前作は衝撃的且つスタイリッシュな作品で、わたしの中ではBEST3に入る。今回の作品“蜘蛛の巣を払う女”は“ドラゴンタトゥーの女”の続編として、作家ダヴィド・ラーゲルクランツが書き上げた推理小説を映画化したものであるとのこと。
前作でリスベットを演じたルーニー・マーラに変り、今回はいま最も期待されている若手女優クレア・フォイが演じ、その他のキャストも一新。正直言うとルーニー・マーラのインパクトが余りに強く、この特異なキャラを引き継いで演じられる女優さんが思い浮かばなかった。それほど難しくハードな役なのだが、その心配は鑑賞後完全に払拭されました。
冒頭の登場シーンの格好良さに、いきなり画面に引き込まれてしまったわたし。まるで地上に降り立った黒い天使である。女性を虐待する人間に対し極度に怨念を抱き、そして制裁を加えていくヒロイン、リスペット。どうしてこのダークヒロインが誕生したのか、その根幹に迫る物語がテーマになり過去と現在が交差しラストへと突っ走る。コンピューターを自在に操り、瞬時に危機を脱してゆくリスベットが本当にカッコいい!相手の裏の裏を読み頭脳を駆使する情報操作の巧みさと、身体をはったアクションは最後まで息つく暇がない。リスベットの抱えた深い悲しみと後悔が、解き明かされたとき物語は終焉を迎える。
アクションを含めハードなシーンも多い中、1シーン1シーンにセンスの良い美しい演出が随所に見られ、前作同様そのスタイリッシュさに感動したわたし。(“羊たちの沈黙”がふっと頭に甦った。)
前作でルーニー・マーラーの大ファンになったのだが、今作でクレア・フォイのファンにまたなってしまいました。クレアはドラマではすでに多くの賞に輝いているが、実力は今作を見れば納得。青く透き通る瞳がとても印象的な女優さんで、次回作“ファースト・マン”が今から楽しみです。こころの片隅でルーニーのリスベットももう一度観て見たかったわたしですが・・・??許します。