

2018.12.20
ギンレイでの残り2本目の作品は“レディバード”。主人公「レディバード」ことクリスティンを演じるのはシャーシャ・ローナン。彼女は24歳という若さにもかかわらず、すでにその演技力は高く評価され、この作品ではゴールデン・グローブ賞主演女優賞を獲得しています。2007年“つぐない”という作品に13歳で出演し、いきなりアカデミー賞助演女優賞にノミネートと言うからただ者ではない。その後も“ラブリーボーン”“グランド・ブタペスト・ホテル”“ブルックリン”と10年くらいで、キャリアを積み上げそのすべての作品で高く評価される女優さんになった。まだ24歳というから、これからどこまで上り詰めてゆくのか空恐ろしい女優さんです。わたしは“グランド・ブタペスト・ホテル”で彼女をはじめて観ましたが、名優たちが溢れる作品の中、確かに存在感を漂わせていました。アイルランド出身の彼女は、他の女優さんにはない、何とも言えない雰囲気を持っています。そのブルーの瞳はまるで泉のような透明感で、吸い込まれそうな感じさえします。またシャープな顔立ちは一見冷たい印象を受けますが、そこがきっと彼女の武器なのかも知れません。今回も髪をオレンジに染め、卒業まじかな揺れ動く女子高生のナイーブなハートを見事に演じています。
さて、映画“レディバード”ですが、17歳の少女、通称“レディバード”が多感な時期を乗り越え、成長してゆく姿を丁寧に描いた青春映画といったところ。青春映画は今までも沢山あるが、この年齢の人にはきっと納得するところも多いはず・・・。だれもが通るその頃の悩み、苦しみ、そして希望などが入り乱れ描かれ「解る、解る!」とつい共感してしまう。よくある話しだからこそ、つい引き込まれてしまうのだろう。わたしのような年寄りでさえ、昔を思い出し自身と重ね合わせて観てしまった。かなり無茶もするが、それこそ青春の特権かも知れない。監督はインディーズ出身の女性でグレタ・ガーウィグ。女優としても多くの作品の出演し、“人生は最悪だ!”という作品では多くの賞に輝いているようだ。この作品では初の単独監督・脚本を手がけ高い評価を得、とくに公開の2017年度映画批評集積サイトで100%の支持率を記録した希有のな作品となっています。評論家の意見が正しいとは」思いませんが、専門家を唸らせた事実は高く評価されるのではないでしょうか?気むずかしい面々のこころを掴んだのですから・・・。これから彼女が作り出してゆく作品が、楽しみでならない。“レディバード”は女性の感性がほとばしり、一度しかない青春をある意味賞賛している作品である。いま青春真っ只中のひと、見に行くときっと元気、勇気をもらえます。そして感謝の気持ちも同時に湧いてくるはず・・・。青春バンザイ!
P.S. お母さん役のローリー・メトカーフが暖かみと尊厳のある深い愛を表現していて、とても素晴らしかったです。演劇出身の女優さんで、有名なトニー賞の主演女優賞を取っている。調べると
“レディバード”と同じ2017年に“A Doll's House,Part2"という作品で授賞し、“レディバード”で取り損ねたゴールデングローブ賞助演女優賞のかりをしっかり掴んだという。いずれにしても凄いひひとに違いない。見れば納得です。