銭湯探訪28
久の湯(江東区南砂)2018.22.
前回紹介した“ニュー松の湯”さんと交互に通う、もう片方のお風呂屋さん“久の湯”さんの紹介です。
もうどれくらい通ったのだろう。家から近いこともあるが“久の湯”さんに通うのには、理屈ではない居心地の良さを感じているわたし。下町の中でも外れに位置する銭湯。交通の便もけっして良くないし、行けば解るが地元密着のレトロなお風呂屋さん。番台には、いつも旦那さんと大女将さんが交代で座っています。地元ならではの話しになりますが、3年ほど前に廃業した銭湯“松の泉”というお風呂屋さんがあり、ここはそこと親戚筋のあたるらしい。ず~っと通っていた“松の泉”さんはわたしのオアシスだった場所。廃業を聞いた時は、身内が不幸にあったと思えるくらショックだったことを思い出す。その場所は現在更地になり、駐車場へと変ってしまいました。当時息子と良く通い、女将さんとも良く話しをさせていただきました。とても愛想のいい笑顔の素敵な女将さんでしたが、ある日“久の湯”に行ったら番台にちょこんと座って「いらっしゃい!」と聞き覚えのある明るい声が・・・。顔を見てびっくり!「えっ!なんでここに居るんですか?」と話しを聞くと親戚でたまに手伝って居るとのこと。何だか無くし物を見つけたみたいに、嬉しい気持ちがこみ上げ話し込んでしまったことがあります。息子が通っていたころは小学生。「坊ちゃんは今日、いっしょじゃないの?」と聞かれたが、「いま反抗期で大変です」とこたえると「ほんと、信じられないわぁ~」と、ちょと長話。それから何度か顔を合わせることがあるが、元気な姿をみるとそれだけでちょっと幸せな気分になれる。“松の泉”での思い出は沢山あるので、いずれ番外編で語ろうと思う。
今日は冬至。一年の内で最も昼の長さが短く、夜の長さが長い日。この日はゆず湯に入るという古くからの風習があるが、一般的には正月前の厄払いを兼ねたもので、柚子(ゆず)=融通がきく、冬至=退治。という語呂合わせから運を呼び込む前の禊(禊)だと考えられているようです。諸説あるらしく、いまは血行を良くする効果で、風邪を引かないというのが単純に厄除けと結びついて理解されているよう・・・。

さて、“久の湯”さんですが、伝統的な家屋でもなく見た目はとても地味。入り口隣にあるコインランドリーも年期を感じるが、地元に根付いた雰囲気がありとても良い。脱衣所にある体重計が歴史を感じさせ、毎回上がるのが楽しみなわたし。入る前に1回、上がって1回必ず体重を量る。わたしのルーティーンはここから始まり、ここで終わる。拘りは必ず2kgの減量で、何十年も変らない。新陳代謝が異常にいいため、一っ風呂浴びるだけで2kg落とすことができる。今日はいつもより柚子湯の効果で、代謝がハンパない。これが良いことなのかは解らないが、ある意味自慢の身体である。浴場内は無造作に観葉植物が窓際に並び、このあたりも庶民的な銭湯。ひとことで言えば「気取ってない!」ということ。自分の家の延長先を感じるお風呂屋さんと言えるここは、わたしにはなくてはならない存在です。丸山画伯のペンキ画も、お風呂の温度も種類も、そして黄色いケロリンの桶もみんなでひとつの“久の湯”さん。この庶民のために寄り添う銭湯が、大好きです。
P.S. 最近ちょっと心配なことがある。週一だったお休みが2度にふえました。事情は解りませんが、ぜひこれからも長く続けてほしいと願うわたしです。