

2018.12.11
10月に鑑賞した“散り椿”以来の日本映画を鑑賞。監督はCM界でハ知らない人はいないくらい有名な中島哲也。映画界に入ってもそのスタイリッシュな映像美を駆使し“下妻物語”でブレイク。その後“嫌われ松子の一生”“パコと魔法の絵本”“乾き”そして“告白”と立て続けに話題作を世に送り“告白”では日本アカデミー賞の最優秀監督賞と最優秀脚本賞を受賞。名実共に日本を代表する監督となった。どの作品もすべて観たが、いつも見終わると何か考えさせられる印象が強い。物語を完結させず、観客それぞれにその後を考えさせる余韻を大切にした演出は中島ワールドの魅力に違いない。少なくともわたしはその魅力にハマッているファンのひとりです。
さて今作“来る”ですが、このタイトルにまず興味が湧きそそられる。“乾き”もそうだったが、中身がまったく想像出来ない。いったい何(あれ)が来るのだろうか?予告編で見る限り、ジャンルで言えばホラー作品なのだが、中島監督ならどんな料理を出すのかと勝手にワクワクしてしまう。基本そんなに得意な作品分野でないので、違った意味で好奇心に火が付いてしまう。終わってみれば、何が来るのか解らないし、何が来たのかも解らない。普通のホラーは、だいたい形あるものが象徴として現れ悪さをするのが普通。が、この作品は最後まで姿を現さないのである。なんと嫌らしい存在だが、それだけにやっかいだし安心できない特別なものとなって恐怖を煽る仕掛けに最後まで引っ張っていかれる。沢山の人間が出てくるが、その中のひとりに自分がだんだんなっていることに途中で気づきます。わたしだけかも知れませんが、物語の中のひとりひとりは、だれもみな近くにいる人だし実は自分なのかも知れません。中島監督は恐くて一番面白いのは「人間」と謳っています。確かにと納得してしまう、そんな作品に仕上がっていました。面白かったの一言です。キャスティングされた俳優さんたちは、岡田准一をはじめ黒木華、妻夫木聡、松たか子、小松菜奈と演技力のある俳優陣。作品はこの五人を中心に動いて行きますが、ほぼ全員が主人公でみなこころに闇をかかえています。その人たちが関わりの中で、物語を紡いでいくあたりがいままでにない展開です。ひとのこころに潜む嫌な部分が浮き彫りにされ、とても不愉快きわまりない演出ですが、それだけにリアリティがありふと我を振り返ってしまう。どの俳優さんも今までと違う役どころで、とても力のこもった演技をしています。小松菜奈さんが、どんどんと女優さんとして開花しているのが実感出来ます。
P.S. 「あれ」って呼ばれたものは、わたしたちの中にあるものだと言うことが最後に解ります。そこが一番恐いところです。原作は澤村伊智さんの「ぼぎわんが、来る」という作品ですが、「ぼぎわん」って何ですか?だれか知っていたら教えてください。そうじゃないと今夜眠れそうにありません。やっぱ「あれ」ですか???