

2018.11.20
二本目の作品は“30年後の同窓会”。この作品が往年の名作“さらば冬のかもめ”の続編と位置づけられていることを、後で知ったわたし。1973年に公開されたアメリカンニューシネマの佳作は、いまもこころに残る感動作。原作を書いたダリル・ポニクサンが1970年に発表した「The Last Detail」が“さらば冬のカモメ”になり、2005年に発表された「Last Flag Flying」が今回の“30年後の同窓会”となった。映画製作ははじめ冬のカモメの35年後をキャストであるニコルソンとクエイドで進んでいたようだが、結局出演には至らなかった用である。このような経緯もあり続編と言われていましたが、観れば解るとおり繋がってはおらずあくまで精神的な続編として描かれています。
監督は2014年に“6才のボクが、大人になるまで。”で、その年の賞を総なめにしたアメリカを代表するひとで脚本家としても活躍する才人である。“6才のボク~”は主人公の成長を6歳から18歳になるまで12年間継続して描写した作品で話題をさらったことは記憶に新しい。この年映画批評で最高の賛美を浴び、辛口の評論家たちを唸らせたのも事実である。この才能溢れる監督が脚本も手がけそしてキャスティングした、俳優陣がこれまた凄いのに吃驚(o・д・)。3人の主人公を演じるのは、アカデミー賞でもお馴染みの面々。ラリー役にスティーブ・カレル(フォックス・キャッチャー)、サル役にブライアン・クランストン(トランボ ハリウッドで最も嫌われた男)、そしてミューラー役のローレンス・フィッシュバーン(TINAティナ)。いずれ劣らぬ役者陣はひとりでも充分作品が撮れるバイブレイヤーたちばかり。そんな布陣で創られた訳ですから、ハズレるはずはありません。観る前から「これはきっと泣かされるなぁ~っ」と思っていましたが、まんまと泣かされてしまいました。決してお涙頂戴の作品ではありません。戦争というバックボーンの中に描かれたアメリカの良心みたいなものが、ジンワリと描かれ考えさせられます。ベトナム戦争とイラク戦争。この2つをまたぎ、延々と続く戦争が生んだ深い傷跡がいままた蘇るそんな映画はわたしのこころに響く作品でした。3人の名優たちが演じる旧友たちの、丁々発止の軽妙なやりとりに時はユーモアに溢れ重たい現実を和らげ優しさが伝わってくる。こんな友人がいたら、人生は最高だと羨ましくなりました。戦争という同じ恐怖と痛みを共にしたもの同士だからこそ、こんな関係を築くことが出来たのでしょう。ラストはお決まりの泣かせるシーンでしたが、わたしは墓地で息子の亡骸を埋葬する軍服姿のサルとミューラーの格好良さに涙しました。作品の主人公3人も、演じた3人にも大拍手です。その生きざまに「老兵は死なず!!」の言葉を贈ります。