2018.11.20
観たい作品が見当たらず、今日はギンレイへと足を向けました。ここはまず外すことのない、良作をを、何時も提供してくれるところ。何の情報を手に入れなくても、まず大丈夫。オーナーのチョイスする眼力はまず完璧。今日も頑張り2本観ると、こころの準備をしてやってきた。
さて、1本目。“さよなら、僕のマンハッタン”は、公開していたことすら知らない恥ずかしい次第。結構情報を集めている方だと自負していたが、全然なってない。恥ずかしい次第です。ニューヨークを舞台にした、少年の成長する過程をドラマチックに描き出した作品はストレートにわたしの胸を打ち抜き感動した。ちょっとミステリー仕立ての展開にぐいぐいと引き込まれ、最後は思いもよらない結末へと続く。久しぶりに、宝くじに当ったくらい嬉しい作品との出会いになりました。監督は一昨年だったかに観た“ギフテッド”を撮ったマーク・ウェブ。作品は少女と叔父の慈愛に満ちた関係を紡ぎ出した作品で、強い印象を残した佳作。クリス・エバンスがヒーローの可燃を脱ぎ捨て、沁みる演技であらたな一面を魅せてくれました。そのほかにも“アメージング・スパイダーマン”シリーズを手がけています。作品の数こそ少ないが、その実力は間違いないとこの作品で確信へと変りました。
物語は大学は卒業したものの、目標も目的も見いだせないままもんもんと空虚な毎日を送る青年の成長物語を描いている。見終わって感じたのが懐かしい匂いと言うか、時代は違うが名作“卒業”が頭に浮かんだ。子どもから大人へと変わって行く、何とももどかしい時間を過ごす青年の不安定な感情と行動が見事に写し出され共感する。自身の過去と映画の出来事を重ねると、至る所でうなずく自分がいる。主人公青年トーマス(カラム・ターナー)が父親の浮気現場を観てしまったところから始まる物語は、見知らぬ隣人ジェラルド(ジェフ・ブリッジス)の登場で、ミステリー性が強くなりどんどんと加速。前編に流れる音楽と名曲の数々が、揺れ動く人物たちの感情にリンクし見事に物語を演出している。このあたりも“卒業”と同じ感覚を蘇させる。一番はやっぱりサイモン&ガーファンクルの曲「ニューヨークの少年」を使っているところなのだが・・・。さらにジャズの名曲をところどころに入れ、ニューヨークという大都会の姿を浮かび上がらせ、そこで暮らし生きる人生の難しさや戸惑いを青年の成長過程に合わせ見事に表現してうぃます。隣人ジェラルドを演じたジェフ・ブリッジスの渋い演技は秀逸。かたやジェラルドの父親を演じたピアース・ブロスナンもいい味を出しています。メチャクチャカッコいい壮年の男を演じ、とても印象に残ります。ブロスナンは“マンマ・ミーヤ”にも出ていますが、ボンドの時を超える魅力溢れる男になっていて本当にカッコいいです。いい年の重ね方をしていて、羨ましいかぎり。女性陣も負けずに魅力的でしたが、なんと言っても親子の間で、ふたりを惑わす女ジョハンナ(ケイト・ベッキンセイル)が何とも魅力的です。一見魔性の女的に表現されていますが、愛に正直なだけのとてもいい女とわたしは受け止めています。みなさんはどうでしょう?女性からは反発もあるかと思いますが、この作品を通して感じたのは、過ちを犯してもそこにはそこには真実の愛があったと感じることが出来ることではないでしょうか?
「人」という字は、互いに支え合っていると言う意味だと説いた某TVがその昔ありました。最近ある番組で異論と言うか、うがった見方で実はくっついているだけで人はひとりじゃ生きられない生き物だと語っていました(笑い)。わたしもこの意見に同感です。今回の作品はまさにそこを描いた名作です。