

2018.7.30
大ヒットを連発し、いまや日本アニメ界を引っ張っているとだれもが認めている細田守監督。その監督の最新作“未来のミライ”を満を持し鑑賞に・・・。夏休みとあって劇場内は子ども中心のお客でいっぱい。親子連れも多く、細田監督がコンセプトにしている親子愛がしっかりと観るひとのこころを掴んでいることが伝わる。わたしも大好きである。アニメと言えばジブリとだれもが思っていましたが、いまや細田監督を筆頭に若くて優秀な監督さんが沢山生まれ、世界に日本文化とまで言わせる時代となりました。漫画やアニメが文化と呼ばれる日を、だれが創造しよう。漫画など読むと馬鹿になると言われ続けた、昭和生まれの人間には創造すら出来ませんでした。こんな日が来るなんて・・・。
さて、“未来のミライ”の感想を・・・。細田監督は新作を発表する度、観客のこころを揺さぶり普段忘れがちなひとと人との繋がりの大切さを教えてくれました。前作“バケモノの子”では、人間界とバケモノ界の境界を乗り越え成長していく少年の姿を通し、だれもが持っているこころの闇を描いて見せました。荒唐無稽な設定ですが、きちっと現実に照らし合わせた観る側にも解りやすい内容に涙を誘いました。今作も想像力豊かな発想で、主人公・くんちゃんの成長を俯瞰で見つめ家族の絆を紡いで見せてくれました。はじめはくんちゃんのワガママに現実感が満載で、どんな家庭にもある家族の繋がりが突きつけられ少しイライラ。どこもいっしょだと理解はしても、あからさまに見せられると自身の感情が拒否をはじめた。いままでの作品とはちょっと違う感覚が全身を覆うが、中盤の迷子になるあたりから細田ワールドに一気に飲み込まれワクワク、ドキドキ。このあたりの展開はさすが細田監督といえます。どんな大人でも、一度は子どもだったと言うことを思い出させてくれる。わたしの好きな小説「星の王子さま」のテーマと同じコンセプトだが、子どもにも大人にも解るような表現は優しさに包まれ暖か~い気持ちになりました。
見終わると、だれもが通る成長の過程と、自身の存在が脈々と繋がってきた血の歴史なんだと感じる作品。もうすぐお盆がやって来ますが、一年に一回くらいは先祖を想い手を合わせても罰はあたりません。「生んでくれてありがとう。生まれてくれてありがとう。」と・・・。