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よもやまシネマ408 “午前十時の映画祭9/七人の侍”
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2018.7.12


黒沢明監督の代表作であり、代名詞と言っても過言ではない、だれもが知る作品の再上映に足を運びその面白さに感動と興奮を改めて感じたわたし。この作品を観るのは何度目だろう。覚えてないくらい何度も観た作品だが、観る度に新しい発見がある。若い頃は、なんと言っても豪雨の中の戦闘シーンのリアルさに感動し胸を躍らせた自分。年を重ね見返す度に、戦闘シーンはラストへと繋げる構成のひとつと捕らえるようになりました。背景にある貧困や格差などいまも続く永遠のテーマがいまなおこの作品に溢れ、それに立ち向かう人間の強さや絆が凝縮されたものだからに違いない。黒沢監督を崇拝している監督は数多く、中でもジョージ・ルーカスは自作“スターウォーズ”の劇中に黒沢作品のシーンを切り取ったオマージュが多いことは映画ファンならだれでも知っている。また、アメリカ映画の“荒野の7人”はリメイク作品としても知られ、世界中で大ヒットを記録し何本もの続編が創られています。
“七人の侍”は昭和29年(1954年)に公開された作品で、わたしが生まれた年。これだけでも信じがたいことだが、実を言うとわたしは“荒野の7人”の方が先に観たひと。これがきっかけでオリジナル“七人の侍”と出会うのである。これは不思議な縁かも知れない。観れば解ることだが、“荒野の7人”にもポリシーはしっかりと受け継がれ「弱きを助け、強気を挫く」の武士道精神が脈々と流れ胸を熱くさせるのである。こちらも何度観ても飽きない。まさにエンタテーメントの金字塔である。一昨年公開された“マグニフィセント・セブン”は、久しぶりのリメイク作品。こちらも芯はぶれてなく、なかなか面白く業界ではそこその評価をされています。ともあれ原作が良いことには間違いありません。
名作の話しは尽きませんが、今回わたしが発見したと言うより感動したシーンの話しを少し・・・。映画は207分とかなり長く途中で休憩が入ります。大きく分けると構成上の前半を「侍集め」、後半を「戦闘準備」と「野武士との戦い」となる。先ほども述べたが作品はラスト近くの豪雨の中の騎馬戦がリアル且つ大迫力でこころを奪われる。だがどうだろう、それではほかのシーンはさほどでもないのか?とんでもない、感動するシーンは全編に鏤められ改めてその深さに感動するところばかり。前編の「侍集め」では、個性溢れる7人にしっかりとスポットをあて丁寧に人物像を描いている。それぞれが魅力的に描かれ愛おしくなる。生まれも育ちも、生きてきた環境も、ましてや志しさえ違う7人。その侍たち(ひとりは?)が、なんの徳分もない仕事に命をかけるなどどう考えてもあり得ない話。だからこそ心打たれ感動してしまうのである。とりわけ今回観て感動したシーンは、宿場町で力を貸してくれる侍集めをしている農民たちが集う木賃宿。リーダーの勘兵衛(志村喬)は百姓に報償はないが腹一杯飯を食わせる、と言われそれだけでは無理な話と一蹴する。これを聞いていた人足がいままで百姓たちを馬鹿にしていたにもかかわらず「こいつらは自分たちはヒエや粟で我慢し、あんたらに米を食わせると言っている」そんな百姓の苦しみを見て見ぬふりをするのかとののしるシーンである。ここはたまりません。決意を固め引き受けた勘兵衛が言った台詞がまたたまりません、「この飯、おろそかには食わんぞ」。この台詞はラストの台詞「勝ったのはあの百姓たちだ、わたしたちではない」に繋がる名台詞である。菊千代(三船敏郎)が、百姓であった自分の過去を表に出し勘兵衛にその苦しみを吐露し詰め寄るシーンでは思わず涙してしまったわたし。
また、来年も観たい映画である。そしてまた違う発見をしたいと思わせる作品でもある。
P.S. 勘兵衛に毅然と物言う(百姓の苦しみを)、宿場の人足役を演じていたのが多々良純さんである。この作品は出演者はもうみな他界している俳優さんばかりなので、知っているひとはわたしを含め高齢者。名脇役であった多々良さんは映画やドラマに当時沢山出演していて、わたしの中では優しい頑固親父のイメージが強い。余談だがこの作品中のメイク、一本眉を観るとイモトを連想してしまいおもわず笑いがこみ上げてしまった。
by eddy-web | 2018-07-15 13:16 | よもやまCINEMA(映画の話) | Comments(0)
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