今月、フォーク歌手森田童子の訃報が流れた。70年代、透明な歌声とカーリーヘアーにサングラスという風貌で、一部でカリスマ的人気を得つつ活動した女性ミュージシャンである。森田童子は芸名で本名は非公開、そして実生活もほとんど公開されず、また素顔を見せる事は一度もなかった謎おおきひと。か細く囁くような歌声は、歌詞とあいまって独特の世界観を紡ぎ出しファンのこころを虜にしました。恥ずかしい話ですが、わたしは今でも彼女の曲を聴くと、何故か涙が溢れ昔の事が頭を駆け巡ります。
学園紛争が吹き荒れる時代に友人が捕まったことをきっかけに高校を中退し、自由気ままな生活を送っていたという。同世代のわたしは似た経験の中青春を過ごし、いまがある。混沌とした時代で、もがいていた自分思い出される。友人をモチーフにしたデビュー曲「さよなら ぼく の 友だち」は、20歳の時友人の死をきっかけに創った曲というのはよく知られた話。1983年に活動を休止したが、1993年にTVドラマ「高校教師」の主題歌として「ぼくたちの失敗」が使われ再ブレイク。それでもマスコミにはいっさい登場せず、最期まで社会と一線をおいた生活をつらぬき今年4月24日に逝去(享年65歳)。マイナー(暗い)イメージが強いひとだったが、本人はメジャーを望んでいなかったと聞く。そんな彼女の楽曲と歌声は、少なくともひとのこころに寄り添い、癒し包んでくれたことに違いない。彼女のようなミュージシャンは二度と現れることはないでしょう。「ありがとう」の言葉を添えご冥福を祈ります。
※YouTubeで見つけた、新海誠監督作品/秒速5センチメートルの画像に彼女の曲が合わさった素晴らしい作品を見つけました。あまりにリンクしていて、まるでオリジナルのように憶えてしまうわたしです。