

2018.6.15
さて、はしご2本目の作品です。こちらは今回観たかったメイン。内容はともかく、観たかった要因は主演女優のルーニ・マーラ。この女優さんは観る度、その魅力でわたしを惑わす。はじめて観たのが“ドラゴンタトゥーの女”。実ははじめてとは言ったが“ソーシャル・ネットワーク”でも観ていたが、それほど印象がなく後に彼女がその人だったことを知りました。“ドラゴンタトゥーの女”のリスベットの役があまりにも強烈なインパクトゆえ、この時彼女の名を心に刻んだ。それ以来彼女の名が出る度、出演作品になぜか引かれ映画館へと足を運びました。彼女は期待を裏切らない演技をいつも魅せ、観る度に彼女に引かれていきました。それを決定づけた作品はケイト・ブランシェットとW主演した、“キャロル”で、完全に彼女の匂い立つ魅力に圧倒され大ファンに・・・。
“ローズの秘密の頁”は2年前に公開されたもの。見逃してしまったが、今回鑑賞することができたことに見終わった後、こころから実感したわたし。その年に公開された“ライオン~25年目のただいま~”でも、恋人役で堅実な演技力をみせましたが、共演のニコール・キッドマン(養母)があまりに素晴らしい演技をし話題をさらってしまいました。ですが、今作品を鑑賞し、やっぱり彼女の才能と美しさに触れ間違いなくこれから映画界を牽引していくであろうと確信しました。
ストーリーは第2次世界大戦時のアイルランドが舞台。ピアノの旋律が静かに流れる中、やや重苦しい雰囲気ではじまる。プロパガンダの波に呑み込まれながらも愛を貫き、最期まで闘い抜いた女の生涯を描いたサスペンスである。主人公ローズは赤ん坊殺しの容疑で告発され、精神病院で40年以上も暮らしている。彼女はそれを否定続けていたが、病院の取り壊しが決定したのを機に主治医グリーンと知り合う。そして物語は時間を巻き戻し、過去への旅へと誘う。空の色が冷たい北の青さを写し出し美しい。その風景にピアノの旋律が重なり合い、静けさの中で迫り来る戦争の足音がじわじわと迫り来る。息を潜め見入るわたしは、知らず知らず画面へと吸い込まれていきました。現在と過去が交差し写し出され、物語の核心へと少しずつ近づく展開はオーソドックスな手法だが堅実で上手い。主人公のローズを演じた二人の女優さんが、本当に素晴らしい。晩年のローズを名女優ヴァネッサ・レッドグレイヴ、そして若き日のローズをルーニー・マーラがそれぞれ演じました。二人ともローズの深い愛と、こころの葛藤を見事に演じ女の強さと優しさをみせてくれました。ラストはなんとなく、予想した通りになりましたが大満足。アメリカの評論家には酷評され、作品は「ページに記されたままの方が良かった」と思わせると皮肉なコメントがよせられたと聞きました。原作とよく比較されるのが映画の宿命。これもどうやらその口らしいが、わたしは感動しました。100人いたら100とおりの見方があり、100点満点を取るのは不可能。それでもわたしは、ひとりでも観客のこころに届けば、それはもう良い作品だと思っています。レッドグレイヴの味わい深い演技と、マーラの豊かな表現力に大拍手。マーラは今まで観た作品で、一番美しく輝いて、わたしのこころの中に鮮明に焼き付きました。これからも多いに活躍し、新しい魅力をまたみせてほしいと願うわたしです。