2018.6.15
しばらく忙しく、映画鑑賞の時間がとれずにいた。やっと落ち着きいざと選んだ作品は、見落としてしまった2作品。前にも言ったことがありますが、一日に2本の鑑賞はじつにきつい。年のせいか集中力が持たない。泣き言を言って恥ずかしいが、作品を充分堪能するにはゆとりが必要な年齢になってしまいました。
そんなことでギンレイ(飯田橋)に足を運んだわたし。1本目を見終わると、いつもより何故か気持ちが高揚し久しぶりのハシゴ。若い頃は1日5本ハシゴした事があるわたしだが、まだ少しだけエネルギーが残っているようだ。
さて、1本目の作品“ロング・ロングバケーション”の感想からはじめます。
物語は人生の終りが近づく50年連れ添った老夫婦の、アメリカ縦断の旅を通して幸せの形とはを描きだす。最近TVや雑誌などでよく取り上げられる「終活」を、考えさせられる作品はラストでより深く胸に突き刺さり考えさせられる。自分自身が考えはじめる年齢になり、このテーマはひとごととは流せない。終始ユーモアたっぷりに綴られる物語ゆえ、ラストの締めくくりは強くこころに刻まれた。自分だったら?と考えさせられる作品は、改めて終活を考えさせられる時間をもらいました。
主演の二人があまりに素晴らしく、役と自身(本人)が重なりまさに名演技で胸を打つ。妻エラを演じたヘレン・ミレン(72歳)。だれもが知る名優さんは、多くの賞を手にしている大ベテラン。3年ほど前見た“黄金のアデーレ・名画の帰還”でも、圧巻の演技力で強い存在感を残しました。今作では夫を包み込む深い愛を、時にユーモアチックに時に内に押さえ複雑な胸の内を完璧に魅せてくれました。表現された深く強いその母性愛は、彼女の人生の深さゆえににじみ出てくるものと感じさせるものでした。年をとってもこんな可愛い女性がいるのにふれ、わたしもそうなりたい(無理だろうなぁ~)と思いました。こんな伴侶に恵まれた人は、間違いなく幸せ者。
かたや夫ジョンを演じたのが、往年の名優ドナルド・サザーランド(82歳)。わたしがはじめて彼と出会ったのは1970年の作品“M★A★S★H”。朝鮮戦争を背景にした物語は三人の軍医を描いたブラック・コメディ。70年代を代表する作品となった映画は、多くの賞を受賞し映画史に残る名作になりました。当時わたしはそのノリについていけず、アメリカって自由を通り越しメチャクチャだと思ったことが思い出される・・・。内容もさることながら、三人のキャラがあまりのも強烈で、その時代の寵児となったひとりがサザーランドそのひと。あれから約50年、イイ年の重ね方をし渋い俳優さんになりました。いまも現役バリバリで“ハンガーゲーム”ではアクの強い演技を披露し元気な姿を見せてくれています。
この二人が熟年の老夫婦を、実年齢で演じてみせる物語は繊細で深い愛に満ちあふれ観るものに「人生の終わりかた」を問いかけます。あなたはどんな人生の終わりかたをしたいですか?
わたしはいつかは来るその時、
“幸せな人生”だったと思えることを目指し、もう少し頑張ってみようと思います。