2018.5.10
ルネ・クレマン監督の名作“太陽がいっぱい”を鑑賞。名曲をバックにした作品は、何度観ても映画ファンを楽しませてくれる。誰もが知る巨匠は生涯を通し、たった17本しか作品を世に残していない。だが、そのすべてが高く評価されジャンルもサスペンス、コメディ、反戦、恋愛映画と幅広くバラエティ。まさに巨匠と言う名が似合う本物の映画人。カンヌやヴェネツィアでは、前期制作作品のほぼすべてにおいて賞を獲っているのがその証。“禁じられた遊び”ではアカデミー外国映画賞も授賞する、すごい監督さんです。わたしも大好きな監督のひとりで、ようやく大型スクリーンで“太陽がいっぱい”を鑑賞でき感激で「胸がいっぱい」です。
さて、往年の名作をあらためて鑑賞するとそこには観た頃の思い出が甦り、映画の主人公と自らの青春時代が交差し懐かしい想いが沸き上がる。ニーノ・ロータの名曲が流れた瞬間に、タイム・スリップしてしまう感覚がたまりません。主人公トムを演じたアラン・ドロンの美しさは当時もそうでしたが、いまなお追随を許していません。カッコイイ男優は多いが、美しいと形容することの出来るのはこの人以外見つかりません。共演のモーリス・ロネもかなりの美男だが、なんだか別次元の美しさです。この作品でデビューを飾ったマルジュ役のマリー・ラフォレもめちゃくちゃ奇麗で、当時あっという間に彼女の名が世間に知れ渡りました。そんな3人が繰り広げるサスペンスは、大きく前半と後半で展開がわかれ後半はハラハラドキドキの連続。ラストは映画史に残るまさに名シーンである。ラスト近くでウエイトレスと交わすトムの言葉「太陽がいっぱいで最高の気分さ!」は、めぐり来る運命の物悲しさを象徴する名セリフとなりファンのこころに永遠に残りました。
数多くの作品に出演し、どの役でも印象に残る演技で女性ファンだけでなく男たちにも人気があった彼。わたしは“冒険者たち”や“あの胸にもう一度”などが好きな作品で、一番は“さらば友よ”です。
憶うにクレマン監督はこの映画もそうだが、実に見事に音楽をからめ永遠に語り継がれる作品を残したものです。“禁じられた遊び”しかり“雨の訪問者”しかり。たが実は“太陽がいっぱい”の曲を創ったニーノ・ロータは、作品に携わったことに強い不満を残していたとある記事で知りました。クレマン監督は上から目線の親方タイプで「この作品に合う曲を作れ!」と言い放ち、ロータが立腹したというエピソードが残っています。こんな名作と名曲に、まさかこんな話があるなんて・・・???
まぁ、そんなことどうでも良い事です。この作品にこの曲があっての名作なのは間違いないことですから。
P.S. 1999年にマット・デイモン主演で公開された“リプリー”は、“太陽がいっぱい”のリメイクだそうですが残念ながら観ていません。あまり評価は高くないようですが、一度観て見たいと思います。