よもやまシネマ383 “シェイプ・オブ・ウォーター”
e0120614_18274190.jpge0120614_18090788.jpg




2018.3.06

話題作“シェイプ・オブ・ウォーター”を鑑賞。今年度のアカデミー賞候補No.1の呼び声が高かった作品だが、見事に作品賞を受賞。つい昨日の発表に、いても立ってもいられず劇場へと足を運びました。
感想ですが、大人向けのお伽噺と言ってしまえばそうなのだが、かなり深い愛のテーマを描いています。でも見終わって感じたのは、こう言う作品がアカデミー作品賞を獲るようになったこと。あまり今までにはない事例ではないでしょうか?3年前に作品賞を受賞した“バードマン”も同じような要素を含んだ内容でしたが、それとはまた違う表現には複雑なメッセージが含まれ、なかなか整理がつかないわたし。監督したギレルモ・デル・トロの書き下ろしで創られた作品は、独自の世界観で溢れ、夢とも現実とも思える不思議な空間を想像させてくれます。監督はオタクとしても知られるひとで、日本のまんがなどにも精通し強い影響を受けていると聞きます。そんなひとが創った作品は、主人公のモンスター(半漁人)への拘りも凄く、リアルな作り込みにまず驚かされます。目の動きは特にリアルで、その表情はことばでは表現出来ない感情を見事に表しています。このモンスターを創るのに、今回アカデミー賞でメイクアップ&ヘアスタイリング賞(ウィンストン・チャーチル)を受賞した辻一弘さんに目だけでも創ってほしいと頼んでいたという話が流れていました。本当ならすごい話。いずれにしてもそのリアルさは観ていただければ納得のはず。
さて、主人公のモンスターと心を通わせる女性イライザ(サリー・ホーキンス)は、生まれつき声を失っている障害を持った人物。その彼女は物語の中ではマイノリティを代表していて、友人のゼルダもまた黒人というだけで差別を受けている設定。間違いなく差別への警鐘を訴えたメッセージ性が読んで取れます。ましてやモンスターとなればマイノリティの代表。そんな二人の恋という異例な愛の形の表現が、アカデミー賞という栄誉に繋がったことは間違いないことでしょう。ラストの水中の抱擁シーンは、絵画のように綺麗で美しくこころに残るものとなりました。イライザは全然美人ではありませんが、見終わるととても愛おしく可愛い女にみえて来ます。内面から溢れ出す無償の愛が、彼女をそう見せるのでしょう。荒唐無稽な話ではありますが、こんな愛の表現もあるのかとデル・トロ監督の創造力には拍手を贈ります。
作品はSFともラブロマンスともモンスター作品とも言える要素を併せ持つ、監督のオタク度100%の作品に仕上がっています。アカデミー賞を受賞したほどの作品ですが、結構賛否は分かれるのではないでしょうか?個人的には好みですが、微妙なモヤモヤが残り、わたしの中の満足度が100%にならなかったのは事実。ラストも「へぇ~、そうなるか?」といった感じだし・・・。オタク好みの作品であることは間違いありません。映像表現がちょっと“アメリ”の色彩感に似ていたり、音楽の使い方が郷愁を誘うような古典の曲を使ったりと、独特の演出を施しています。ちょっと凝り過ぎていて、その演出が何を意味しているのかと考えてしまうほど・・・。“美女と野獣”は100%のお伽話でしたが、今作はまさにリアル版ともいえます。斬新な発想の物語は、単に好きとか嫌いとかだけでは評価できないところが、良くも悪くも考えさせられる厄介な作品。このモヤモヤ感は「エヴァンゲリオンの最終回」以来の出来事です。さて、みなさんはどのような感想を持たれるでしょうか?見終わった後に、あれやこれやと話が尽きない物語ではないでしょうか?

P.S. 劇中でイライザが手話で、「彼を助けないんだったら、私たちだって、人間じゃないわ」っていう言葉は胸に突き刺さります。


[PR]
by eddy-web | 2018-03-07 00:00 | よもやまCINEMA(映画の話) | Comments(0)
<< よもやまシネマ384 “午前十... よもやまシネマ382 “BLA... >>



エディデザイン室
by eddy-web
S M T W T F S
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31
最新の記事
カテゴリ
以前の記事
2018年 05月
2018年 04月
2018年 03月
2018年 02月
2018年 01月
2017年 12月
2017年 11月
2017年 10月
2017年 09月
2017年 08月
2017年 07月
2017年 06月
2017年 05月
2017年 04月
2017年 03月
2017年 02月
2017年 01月
2016年 12月
2016年 11月
2016年 10月
2016年 09月
2016年 08月
2016年 07月
2016年 06月
2016年 05月
2016年 04月
2016年 03月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 11月
2015年 10月
2015年 09月
2015年 08月
2015年 07月
2015年 06月
2015年 05月
2015年 04月
2015年 03月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月
2010年 12月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 09月
2010年 08月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 03月
2010年 02月
2010年 01月
2009年 12月
2009年 11月
2009年 10月
2009年 09月
2009年 08月
2009年 07月
2009年 05月
2009年 04月
2009年 03月
2009年 02月
2009年 01月
2008年 12月
2008年 11月
2008年 10月
2008年 09月
2008年 08月
2008年 07月
2008年 06月
2008年 05月
2008年 04月
2008年 02月
2008年 01月
2007年 12月
2007年 11月
2007年 10月
2007年 09月
2007年 08月
2007年 06月
2007年 05月
フォロー中のブログ
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧


logobr.gif