2018.2.26
話題作ミュージカル映画、“グレーテスト・ショーマン”を鑑賞。音楽スタッフは昨年“ラ・ラ・ラ・ランド”で見事アカデミー主題歌賞を授賞した、ベンジ・パセック&ジャスティン・ポール。まだ記憶に新しいチームが再び手がけた音楽を引っさげ、本年度も再びアカデミー賞にノミネートされている作品が“グレーテスト・ショーマン”。主演はミュージカル映画、“レ・ミゼラブル”で見事に観客を虜にしたヒュー・ジャックマンとくれば期待しない訳にはいかない。実はジャックマンのイメージが180度変わったと言っていい作品だったのが“レ・ミゼラブル”。彼の底知れない才能に驚かされたのはわたしだけではないでしょう。そんなチームが創った作品ですので、期待を胸に劇場へ・・・。
物語は19世紀半ばに実在した、P.T.バーナムの伝記をもとに現代風に創られたショービジネス界の挫折と成功の物語。冒頭のジャック演じるバーナムのシルエットが浮かび上がり幕が明くシーンは、スタイリッシュでカッコイイのひとこと。あっと言う間に物語の世界へと引きずり込まれる。テンポよく進む話は、切れ味も小気味よく時間を忘れさせる見事なエンターテイメント作品になっています。何と言っても音楽(楽曲)の素晴らしさに、これぞミュージカルの王道と思わせる演出がしっかりとマッチし飽きさせない。主題歌の「ディズ・イズ・ミー(これが私)」の詩には、きっと誰もが心を揺さぶられるに違いない。名曲と言っていい見事な出来映えで、見終わったあと思わず口ずさんでしまいます。全9曲の全てがメッセージ色があり、こころを揺さぶる名曲揃い。全米ではサウンド・トラックながら、ポップチャートで1位を取ったそうです。バーナムのサクセス・ストーリーを現代風にアレンジして完成した作品は、一級品のミュージカル映画となりきっと映画史に残るものだと思います。貧しい家庭に生まれ苦渋を舐めて生きてきた主人公が、夢を見続け外見や地位に囚われずありのまま自分らしく生きることの素晴らしさを仲間と共に謳い上げる。このコンセプトには時代を超えた、メッセージが込められている。多様性が求められる現代こそが、この作品の中に描かれているのではないでしょうか?ハリウッドでは一度は消えかけたミュージカル映画が、息を吹き返し私たちに元気をくれ始めました。とても嬉しい限りです。ひとによっては「ミュージカルはチョっと・・・」と苦手なひとも多いようだが、音楽と踊り、そして美術、さらにストーリーと娯楽のすべてが詰まった作品がミュージカル。こんなお得な買い物を観ないのは損。ひとときの現実逃避も良いではありませんか?みなさんいかがでしょうか・・・。
テーマである偏見や差別に対する強い反骨の想いが、ショーを彩る出演者たちに勇気と力を呼び起こし見事なパフォーマンスで魅了する演出の見事さに感動します。異系の目で見られ生きて来た人々の、心の叫びが歌と踊りに乗り移り胸に迫る最期のエンディングまで目が離せません。さぁ、劇場に足を運び、この感動を共有しましょう。
P.S. ジャックマンの他の出演者もみな皆素晴らしく、脇を固めているショーの仲間たちのパフォーマンスには大拍手です。話は個人的になりますが、中盤で登場するスウェーデンの歌姫ジェニー・リンドの歌と美貌にやられました。他の曲とも違う哀愁を帯びたその曲と歌声は主人公バーナムだけでなく、聞く人の心を癒し包んでくれます。それもまた本物の証。バーナムとの関係にはやや疑問は残りますが、その声と美貌に対し許します。演じているのはレベッカ・ファーガソン。“ミッション・イン・ポッシブル”や“ガール・オン・ザ・トレイン”そして“ライフ”などで印象に残る演技を見せていますが、今回の彼女の存在感は一番印象的。主役でもいけるひとだと思うのはわたしだけでしょうか?本当に奇麗な女優さんです。次回作は再び“ミッション・イン・ポッシブル”だそうで、いまから楽しみなわたしです。