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よもやまシネマ374 “花筐”
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2018.1.16

いま、日本人監督の中で一番好きな監督と言えば大林宣彦さん。映画界には名匠、巨匠と呼ばれたひとは多い。作品の質や内容が高いからこそ、そこにひとは集まり高い支持を得、時代に名を残すひととなる。もちろんわたしも多くの素晴らしい作品に触れ感動をもらい、好きな作品(好きな監督)は多い。だが、ひととして好きな監督って言うのはこの人をおいていない。いつでも暖か~い気持ちにしてくれるこころの薬を、上手に調合して作品を創ってくれます。人柄が溢れていると言うか、こころに寄り添うような作品でいつも包み込んでくれる大好きな監督さん。その監督が創った作品は、発表と同時に監督がガンにかかり余命3ヶ月と宣告を受けているというショッキングな会見だった。監督がそんな状態の中で創り上げた作品には、どんなメッセージが紡がれているのだろう。
早速最新作“花筐”が公開されている、聖地有楽町に足を運びました。余談ですが映画を見始めロードショウを観に、何百回と足を運んだ街。この街も大きく様変わりし大きなビルが覆い被さるように聳え立っています。映画館の興行形態も変わり単館での公開が少ない現在だが、いまでも歴史をまもり続けているところが数は減ったがある。そのひとつがスバル座。今日はそのスバル座にやって来ました。何十年ぶりかも思い出せないが、昔のまま同じ場所に存在し何だかふるさとに帰ってきたような気分になりました。
さて、“花筐”。大林監督の世界が美しい風景(唐津)をバックに百花繚乱の勢いで冒頭から溢れ出す。その様式は舞台劇を映像にしたかのような演出で、原作の時代を丁寧に描き一場面ごとに深い拘りを感じさせる。監督が長く表現に使ってきた合成技術をふんだんに使い創り上げた、動く日本絵巻といった伝統さえ感じさせる。カットカット1枚に美への拘りが表れ、屏風絵が動いているような気持ちになる。また良き日本語のやさしい言葉のやりとりに、あらためて日本語の美しさを味わうことも・・・。そして絶妙なタイミングで挿入される音と音楽。笛、鼓、チェロ、ハーモニカなどが、主人公たちの感情と重なりより印象を深める。物語は今とは全然ちがう時代背景(大戦へと繋がる頃)の青春群像だが、時代は違えど青春期の悩めるこころを描き出し、いまを生きるわたしたちがいかに幸せかと再認識する。もがき苦しみ、時にあこがれをいだき揺れるこころが絵画のような映像に重ねられ、運命の残酷さに考えさせられる。時代の悲壮感を美しい映像で包み、どんな環境の中でも強く自身と向き合う若者たちの姿が儚くも美しい。原作は檀一雄さんの有名な作品だが、監督がデビュー作“HOUSE”撮る前に書き上げた脚本を、40年越しで映画化した青春群像劇とのこと。監督も生まれる前の時代に創られた檀一雄の短編だが、そこに込められた大林監督の思いとは・・・。
大林ワールドの血は脈々と流れているが、いままでのどの作品とも違う沢山のメッセージが込められていることを強く感じます。監督の作品では良く泣いた。と言うよりは泣かされたといった方が正しい。だが今回の作品は泣けなかった。胸に来る場面は幾度もあるのだが、何故か涙は出てこない。どうしてなのかはわたしにも解らない・・・。
監督が余命宣告を受けてから、1年半かけて創りあげた作品に込められた思いを、ぜひみなさんにもご覧いただきたい。そして監督にはまだまだ映画を通し、忘れがちな「ひとを思う(憶う/想う)優しさ」を描き続け、道標となり引っ張っていただきたいと、こころから願ってやみません。どうかよろしくお願いいたします。
P.S. 作品に参加した俳優のみなさんが、みな素晴らしい演技を見せてくれました、「ありがとう」の言葉を贈ります。
by eddy-web | 2018-01-16 00:00 | よもやまCINEMA(映画の話) | Comments(0)
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