

2017.11.27
偶然観たTVの報道番組。写し出されたのは、ゴッホの美しい映像世界。それは謎多き彼の最後を描いたアニメーション映画でした。その映像表現の美しさに目 を奪われ、思わず画面に釘ずけになったわたし。表現された映像は今まで観たことのないもので、その全てがアナログで創られたと知り驚愕。そしてその衝撃を 確かめるため、上野へと・・・。
物語は現代でこそ天才の名をほしいままにしている画家ゴッホが、弟テオに宛てた最後の手紙を軸に自らの手で生涯を 閉じた謎に迫るサスペンス仕立ての作品になっていました。これは正直意外な展開で、今だ謎多き自殺の終焉に焦点を当てた、ゴッホのこころの闇と苦悩に迫る もの。見終わった後、彼が何を思いそして何を考えてその瞬間を迎えたのかが、頭の中を駆け巡り割り切れない想いが残ってしまいました。しかし間違いなく彼 が天才だったと言うことだけは、その残した作品の数々に描き込まれている想いが解り、改めて強く引かれるきっかけとなりました。
作品は彼の残した 作品の独特な筆のタッチを蘇らせ、つなぎ合わせた動く絵画となり観たことのない新たな芸術への世界を・・・。その表現は彼の独自のタッチを、125名の画 家たちが62,450枚という数の絵を描きだしまとめ上げたまさに芸術。参加したプロジェクトのメンバーノ中に日本人で唯一参加しているのが古賀陽子さ ん。3ヶ月で1日平均6コマをトータル約580コマを描いたと、インタビューで語っています。それだけ頑張っても映像にするとわずか1分弱と聞き、あらた めてこの作品の凄さと関わったひとたちの並々ならぬエネルギーを感じます。そして何よりスタッフのみなさんが、画家ゴッホをリスペクトしているととを強く 感じました。アニメーションが世界中で文化として認められ始めた現代。新しい表現がどんどん生まれ、その世界は進化を続けている。そんな中で原点とも言え る表現に徹し創られた作品は、言葉では賞賛できないほど素晴らしい芸術作品となり感動を呼びます。スタッフのみなさんに拍手と「ありがとう」の言葉を贈り ます。
見終わって天才画家ゴッホにほんの少しだけ近づけた気がしました。しかし残念ながらその死の真相、最後まで読み取ることは出来ませんでし た。神のみぞ知るとしか言いようがありません。その謎多き生涯があればこそまた、作品が輝いて見えるのではないでしょうか?映画を観た後、彼の残した作品 の一枚一枚に描き込まれた念いを知りたいと強く思いました。是非、みなさん観に行ってください。
P.S. フィンセント・ヴィレム・ファン・ゴッ ホ。生涯デ書き残した作品は、スケッチなども合わせその数2,100点。37歳という若さで世を去った天才画家の作品は、生前1枚しか売れなかったと聞 く。そして有名な作品の多くは、ゴーギャンと過ごしたアルル時代以降に描かれた油絵である。その一枚一枚に浮かび上がる光と影に、彼のこころが描かれてい ると思うとその魅力は尽きない。現在上野で開催されている「ゴッホ展」に足を運び、少しでも彼に近づけたらと思います。