2017.10.16
今から49年前、第一作目の“猿の惑星”が公開された。わたしが18歳の頃。進学か就職かで悩んでいた頃、気晴らしに観に行ったその作品は衝撃的なラストシーンで、頭の中が一瞬真っ白になったことを思い出す。それ以降毎年のように続編が創られ、SF映画の代表作となった。旧作のシリーズは全部で5作。総てが評価されたわけでは無く、むしろ酷評されたものの方が多い。だが、興行的にはみなヒットし配給会社にとってはまさに「打ち出の小槌」。皮肉な結果である。すべてのはじまりは先ほど言った第1作のラストにある。あまりのインパクトに、SFを超えた未来の現実をみせられひとは驚愕し考えさせられてしまった。そして“猿の惑星”は金字塔になった。
映像技術が急激な発展をとげ、コンピュータグラフィックスによる作品づくりは当たり前。SFはもちろんアクションがからむ作品のほとんどが、CGで創られている。いまや飽和状態でたいていのことでは驚かなくなってしまった。でも、昔を知る人間には恐ろしいほどの進化で、いったいこれからどこまで・・・と想ってしまう。
ただ言えることは、間違いなくそれだけではひとのこころは動かされないということ。現に、第1作がいまだに高い評価を得るのは、しっかりとこころに残るテーマ(コンセプト)があったからである。今回の作品を観る前に、あらためて観たがテーラー(チャールトン・ヘストン)の慟哭が聞こえその姿にカメラがよるとそこには・・・。ほんとうにクオリティが高くまさに名作である。
前置きが長くなりました。新作シリーズの今作は、最後の聖戦と銘打たれ公開されました。旧作をリスペクトしながら、新しい解釈を付け加えオリジナリティをだしている。どうしても旧作と比較されたりイメージを重ねてしまいがちだが、ここは全然別物ととらえて観るべきだろう。映像技術だけ観たらとても比較にはならない。いまのひとが旧作を観たら、まるで紙芝居でも見せられている感じだろう。日々進化しているCGの表現力は、今回もさらにパワーアップし凄いのひとこと。一番はなんと言っても猿たちの動きや表情のリアルさ。モーション・キャプチャーという最新技術を使ったそのリアルな表現は、嘘くささが微塵も感じられない。本当に現実に存在し、わたしたちの世界で生きているとさえ思えてしまう。本当に凄いです。あまり技術のことは詳しくないので、興味のある方は調べてみるのもいいのでは・・・。内容も旧作のにおいを残しつつ、いい案配に構成されクオリティの高さを保っています。新シリーズでは一番いい出来ではないでしょうか?猿と人間との戦いの中で生まれる、新たな関わりも「絶望から希望へ」と締めくくっていて良かったです。まだ、続きがありそうなところもちょっと嬉しいです。いま、世界が抱える争いの連鎖(戦争)に、一石を投じるテーマがこの作品には描かれていると想います。
P.S. シーザーを演じたアンディ・サーキスをはじめ、お猿さん演じた俳優さんたちの目の芝居は感動です。何度も涙を流してしまいました。これこそ名(目)演技と言うのでは・・・。