

2017.10.02
作家・東野圭吾史上最も泣ける作品とちまたで言われている“ナミヤ雑貨店の奇蹟”が実写化されました。監督は“ヴァイブレータ”で国内外の賞を総なめにした廣木隆一氏。そして、この作品テーマに共感し楽曲を書き下ろした山下達郎さんの「REBORN」が作品の感動をさらに印象深くする演出で涙を誘う。物語は時空を超えたヒューマンファンタジーで、わたしのツボを射抜いてしまいました。「こんな話ある訳ないだろう?」と思うか、いやいや「奇蹟ってあるよ!」と思うか、はたまた「ないとは思うけど信じたい!!」と思いたいなど・・・ぜんぶまとめて取りあえず観て見ませんか?それからいろいろ考えましょう。とわたしは強くお薦めします。主人公のひとり敦也(山田涼介)が、はじめそうだったように・・・。
最近観たTVドラマ「ツバキ文具店」と同じ匂いがする感覚は、手紙を通して伝える人と人との繋がりを見事に創り上げ、偶然と必然の不思議な余韻を表現しています。大分前に観た映画「黄泉がえり」にも近いものを感じました。特に主題曲の使い方はまさにいっしょ!「黄泉がえり」では、柴咲コウが主題歌を歌うシーンが実に感動的でしたが、今回“ナミヤ雑貨店の奇蹟”では門脇麦(セリ)が歌うシーンが胸を打ちます。大人向けのファンタジーにはめっぽう弱いわたしは、涙涙で人目もはばからずグスグスです。きっとさめた意見で“嘘くさい”などと言ったコメントもネットに上がるのだろうと思いますが、わたしはだれがなんと言おうと大好きです。「信じるものは救われる」いや、救われなくてもそれで構いません。
今回の作品は特に主人公を特定せず、出て来る人たちの目には見えない糸に繋がれた物語が時空を超え進みます。きっかけはナミヤ雑貨店のオヤジがはじめた、万相談の手紙のやりとり。ネット社会全盛のいま、こんなアナログな方法でと思う人も多いはず・・・。面倒くさいと思うひとも・・・。ただ違うところがあるとするなら、そんな簡単にこころの内をひとには見せられないというところ。一言一言ことばを噛み締め綴った文章には、そのひとの想いが凝縮しています。ひとの悩みに答えるという作業は、そんなに簡単ではありません。物語の中でも語っていましたが、返事のことばひとつでそのひとの人生さえ変えてしまう。そこには相手を思いやる深い愛情がなければなりません。友だちでも大変なのに、まったく面識のないひとのことを想いながら考えるなんてまず出来るものではありません。この物語に出て来る登場人物はみなそれぞれに傷を背負っています。だからこそ、相手の傷みに寄り添い一生懸命に生きることを実践しています。簡単ではありませんが、こんな生き方素敵ですね!
P.S. ナミヤ雑貨店のお店の雰囲気が、とても懐かしく昔を思い出させてくれました。この物語よりも古い時代を生きたわたしですが、小学校の前に同じようなお店がありました。万相談はしていませんでしたが、おばちゃんの笑顔がいつも素敵でそれだけで一日が元気に過ごせたように思います。遠い遠いそのむかしの記憶です。