

2017.9.22
カーマニアにはたまらない映画が創られました。作品は”スクランブル“。カーアクションをメインにした、クライム・エンターテーメント作品である。最後まで終わりが予測不可能とされる構成は、アクション同様ドキドキさせられる。いままでも多くのカーアクション作品は創られ代表されるのが”ワイルドスピード”シリーズ。他にも“トランスポーター””トリプルX“など人気を誇る作品が多いのは、派手なカーアクションと登場人物たちの格好良さがなんと言っても魅力の一因。そして出てくるスーパーカーを映画制作のためとはいえ、いとも簡単に破壊するその潔さ。「あ~ぁ!これで何千万円が???」なんて考えてみてしまうのは、貧乏人の私だけでしょうか?
ところが今回の作品は、そんなもんじゃ無い恐ろしい企画。それこそカーマニアにはたまらないビンテージクラシックカーが勢揃いした、マニアだけで無く観る価値のあるコレクションのオンステージ。世界に2台しか存在しないとされる1937年型ブカッティを筆頭に、でるはでるはの名車の数々。まったくと言っていいくらい知識のないわたしでも、その美しさには一発で魅せられるまさに芸術品たち。時代を超えたその完成度の高さに、溜め息が漏れるばかり・・・。世界中のコレクターから名車借り集め、さらに忠実にレクリエーションされたレプリカを創り、アート作品としても充分楽しめるミュージアムの場となっています。贅沢この上ない作品を創り上げたのは、アントニオ・ネグレ監督。”リーサル・ウェポン“が、代表作のひとつとして知られている。そこに集まった制作スタッフは、先に述べた”ワイルドスピード“などを創ってきたまさに精鋭部隊。そして主人公に名監督クリント・イーストウッドの息子スコットが抜擢され、ビートの効いた音楽と美しいマルセイユの風景をバックにエンターテイメント作品が創られた。ひたすらカッコいいのと、その贅沢な演出に圧倒されます。本編の中で倉庫の中に並んだ名車が現れると主人公たちが溜め息を漏らすのだが、観ている観客も同時に溜め息を漏らしてしまう。まさに一体化してしまうのである。むかし映画館で、作品が終わると同時に拍手が起こったのを覚えている。なにかそんな懐かしい気持ちが蘇りました。マフィアのボス(クレンプ)が保有するフェラーリの真っ赤なボディが並ぶ倉庫は、目に入った瞬間鳥肌が立ちます。その一台1962年型250GTOは美しさと気品を醸し出す一品。オークション史上最高額の39億円を記録しているとのこと。これだけでも映画の凄さが窺えるのだが、その車を使ったアクションシーンってみなさん想像出来ますか?「えっ!ちょっと待ってよ!!」って思わず声を出してしまうような、カーチェイスの連続には違う意味でハラハラドキドキ。芸術品の凄さは解っても、お金の感覚はいまいちピンとこないわたし。1億だ2億だの言われても???である。ただその美しい姿を壊すのだけは止めてと、こころに願いつつラストへ・・・。何度も言いますが映画としても楽しめるのと、お宝品を目の当たりにできることが出来る一度で二度美味しいお得感満載の作品です。この手の作品はきっとこれからも創られるのだろうと予測するわたし。オタク文化が世界中に拡がる現在、求めるひとがいる以上そこを満たす作品作りは映画界の使命ではないでしょうか?個人としては、多いに期待大です。よろしくお願いいたします。