2017.9.15
リドリー・スコット監督のメガヒット作品“エイリアン”、待望の最新作コヴェナントが公開された。第1作“エイリアン”が公開されたのが1979年。今から38年も前になる訳だが、はじめて作品に触れた瞬間の衝撃は、今までに感じたことの無いものでした。SFホラー作品に登場してきたさまざまな異星人やモンスターたち。そのどれにも属さない、斬新で異形なキャラは観るひとの度肝を抜き世界中の映画ファンを驚かせた。そのデザインはシュルレアリスムの巨匠デザイナーH・R・ギーガーが担当し、観た事のないデザインはコアなファンを生みその人気はいまも色あせてていない。画集も発売され、ギーガーの名も“エイリアン”同様、世界の知ることとなった。そして映画は続編が次々に創られ、その度にファンたちを虜にしてきました。物語もじつに緻密な構成で、単なるモンスター作品では無く、王道を行く気品さえ感じるシリーズとなり今回へと・・・。
その度に新しい切り口が用意され、ファンをうならせてきたシリーズ。果てしなく続く、人間とエイリアンとの戦い。1作目から主人公に女性を据え、人間(女性)の芯の強さや母性などをからめ表現された作品はSF作品の代表と言っても過言ではありません。
今回の作品は、過去にさかのぼりエイリアン誕生の秘密に迫る物語となっている。スコット監督自らがメガホンを獲り創り上げた作品には、いったいどんなメッセージが込められているのだろうか?興味はつきない。
さて感想である。第1作から続くなんとも言えない独特のダークな世界観は健在で、あっという間に物語りの中へと引きずり込まれる。映像の視覚効果は何度もアカデミー賞などで評価され折り紙付き。冒頭の無機質な部屋(白い)の中での人間とアンドロイドの会話からスタートする物語は、これからいったい何が起こるのだろうかと観る側を洗脳する。
2012年に公開された“プロメテウス”を観たときのことを思い出す。作品がエイリアンに繋がっているとはつゆ知らず観たわたし。タイトルにエイリアンという言葉が全然使われていないことと、前もって情報を入れずに鑑賞する自分は、スコット監督の新作と完全に思い込んでいました。物語が進み途中現れた、宇宙船の残骸と宇宙人と思われる化石。見た瞬間「エッ!!」と思い、はじめてエイリアンと繋がっていることを理解した。内容はかなり難解で、自分の中でエイリアンに繋がるまでには少々時間を費やした。しかしその時のもやもやした印象が、今回解き明かされることとなった“エイリアン・コベナント”。エイリアンの起源に迫るとうたっている今作品だが、それをまた裏切るような含みある展開はますます先の読めなくなっている。そして作品は新しい物語への序章へと・・・。人とエイリアンとの長い戦いをテーマにし、その繋がりを紐解き新たな創造の世界へと誘う。それは神の世界とも言うべき「人間の創造」へと進んで行く。「鶏が先か、卵が先か。」と言うような展開は、いつになったら結末を迎えるのでしょうか?これからもこの作品から目が離せません。
P.S. アンドロイドのデヴィットとウォルターを演じたマイケル・ファスベンダーは、いま乗りに乗っている俳優さんのひとり。そしてヒロイン、ダニエルズを演じたキャサリン・ウォターストーン(ファンタスティク・ビーストと魔法使いの旅)。ふたりの確かな演技は、スコット監督の創造世界にしっかりと答えた見事なものでした。今後も楽しみな二人です。そして公開間近の監督プロデュース”ブレードランナー2049“、いまから楽しみでなりません。私の中でSF作品ベスト5に入る続編が、いよいよ35年ぶりに公開される。あの素晴らしいラストシーンを超えることが、いったい出来るでしょうか?正直不安と期待でいっぱいである。