

2017.6.27
またまた「午前10時の映画祭」に足を運びました。今回はフランソワ・トリュフォー監督の名作“突然炎のごとく”。1964年の作品で、わたしが10歳の時公開されたもの。その年東京では初めてのオリンピックが開催され高度成長期真っ只中。主演はフランスの名優ジャンヌ・モロー。当時34歳の彼女は女優としては油ののっている頃で、今現在89歳でお元気である。今作のトリュフォーやルイ・マルといった、ヌーヴェルヴァーグ時代の監督の作品に数多く出演し、多くの賞を獲り彼女もまたヌーヴェルヴァーグを代表する女優となった。2012年、10年ぶりの主演映画“クロワッサンで朝食を”で再び映画ファンをうならせる素晴らしい演技を魅せてくれました。
“突然炎のごとく”は“死刑台のエレベータ”とともに、間違いなく彼女の代表作。そもそもヌーヴェルヴァーグとはフランス映画界におきた潮流のひとつ。金銭や名声とは関係なく、情熱で仕事をするという姿勢の新しい映画づくりの波を意味する運動。いまでこそ青臭いと言われるかも知れないものだが、一時代を築いたのは間違いない事実。日本にも影響を及ぼし影響を受けたとされる監督は多い。今村昌平や大島渚などが代表と言われています。
さて、“突然炎のごとく”だがトリュフォー監督の独特の感性がほとばしっています。他の作品もそうですというが、監督の作品は観るとこれぞトリュフォーという感じがする。それくらい徹底した色がでる監督である。正直、途中でふっと気が抜ける瞬間がある。難しいという訳ではないのだが、理解に苦しむ感性がそこに表現されるからである。例えば今作品も男女三人の奇妙な恋愛関係が軸になり、奇妙な共同生活が写し出される。いまでこそそんなに珍しくもないことだが、これを50年以上前に創ったというのが驚きである。まさに新しい波なのかも知れない。とうてい常人には考えつかないというか、考えられない人間関係です。三人の個性が、時にぶつかり合い、時に寄り添いそして予想外のラストへ・・・。不思議な感覚が頭を駆け巡り、ひとを愛する意味を考えさせられる。自由奔放に生きる女カトリーヌを演じたジャンヌ・モローが生き生きとしています。演技なのか地なのか解らないほど、男を惑わす女を見事に演じています。男はこう言う女に弱いのでしょうか?それより解らないのが、二人の男の関係でした。ひとりの女性を共有するなんて・・・、絶対無理!結論!!わたしは凡人という事。時代を超える感性にふれた、貴重な体験となりました。劇中ジャンヌ・モローが歌を歌うのですが、上手いです。後で調べたら、歌手でもあるそうです。どうりで・・・。
P.S. トリフォー監督の“アメリカの夜”が好きです。というか主演のジャクリーン・ビセットが大好きです。