![]() ![]() 2017.6.19 すっかりはまってしまった「午前10時の映画祭」。今日は往年の名作“イブの総て”。1950年の作品で、その年のアカデミー作品賞はじめ全6部門を受賞した折り紙付きの作品である。わたしが生まれる4年も前の作品というのに、感慨深いものがある。主演はベティ・デイヴィスそのひと。ハリウッド史上屈指の演技派女優として「フィルムのファースト・レディ」と呼ばれていた大女優。アカデミー賞のノミネート数も11回と、キャサリン・ヘップバーンに抜かれるまでは一位の記録を保持。凄いのひとことである。実は彼女の作品を観るのは2度目。彼女なんて気軽に呼ぶのは失礼とは思いつつ、あえて言わせていただきます。彼女の印象はとても気が強く、怖いイメージが強い。作品を観ていなくても感じる、目力の迫力にある。決して美人とは言えない顔立ちと、なんと言ってもいその瞳の大きさの圧倒される。映画の話に入る前にいろいろはなしがつきないが、彼女の歴史そのものがすべて興味深く話題にことかかない。それだけでも大女優の証かも知れません。調べたエピソードの中で、特に興味を引いたのが、 “青春の抗議”でアカデミー賞を獲得したときの話。前年度に“ 痴人の愛“で最有力候補となったのだが、映画会社との間に確執が生まれ圧力がかかり賞を逃した。ところがそのことにより、評論家や世間のひとからの猛抗議が殺到したという。それくらい鬼気迫る演技力は、誰をもうならせたと聞きます。次の年に“青春の抗議”で見事オスカーを手にするのだが、前年度の同情票が集まった感は否めず、それを一番感じている本人が、受賞コメントで「“乙女よ嘆くな”のキャサリン・ヘップバーンが本当の受賞者である」と述べた。この話はぐっときました。真の女優とは彼女のことを言うのだろう。男前です。格好良すぎますね!! どんな役でもこなし、むしろひとが忌み嫌う役をあえて選び挑戦する役者として、いまも高く評価されている演技力はほんもの。時間をみつけ一本でも多く、彼女の足跡をたどって観たい。 話は尽きませんが、“イブの総て”の感想を・・・。昔の作品ですので、いまと違い映画の教科書とでも言うような演出だったり、表現が多いのは想定内の話。きっと録音や音声技術もままならぬ頃のようで、セリフ回しや演技がやや誇張され舞台劇のような感じがしました。声も必要以上に張り上げている感じにはじめは戸惑ったのですが、脚本の素晴らしさなのか、ベティ・デイヴィスの圧倒する演技力なのか最後はスクリーンに釘付けないなっていた。タイトルのイブ役はアン・バクスターで、大スターを夢見る女の物語がテーマ。そしてベティが演じるのは、イブがあこがれる大女優マーゴ・チャニング。大いなる野望を胸に秘め、あの手この手でのし上がっていく女優と業界の裏側を描いたもの。女の怖さ、したたかさが存分に画かれております。昨今ではそう珍しくもないテーマですが、67年前となれば話は違う。スキャンダラスな内容で注目を集めたのは、言うまでも無い。感想はやはり、名作には嘘がないという事実。ラストなど、ただうなってしまう小気味いい演出で見事のひとこと。P.S. 無名時代のモンローが端役で出ています。やっぱりこの時からオーラが出ていて、メチャクチャ可愛いです。 はじめに彼女の映画は2本目といいました。この作品以外でスクリーンで観た映画は、彼女の晩年79歳の時に撮った“八月の鯨”。共演のリリアン・ギッシュ(93歳)共々、言葉に表せないほどの深みある演技は鮮明に焼きついています。静かにたんたんと進むお話なのだが、こころ癒やしてくれる。こんな年の重ね方ができたら、どんなに幸せだろうと当時ほんとうに思いました。岩波ホールにて公開されるや、異例のロングランになりわたしの尊敬する淀川長治さんが絶賛した作品。最後まで女優魂を貫いた女優、そして女性のベティ・デイヴィスさんに感謝です。いいものを観せていただきました。 ![]() 若い頃の彼女は、やっぱり息を呑むほど奇麗でした。余談ですが、彼女をテーマにした「ベティ・デイヴィスの瞳」という歌が1981年に大ヒットしグラミー賞を獲ったそうです。この写真を観ると頷けます。
by eddy-web
| 2017-06-20 18:02
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