2017.5.2
キムタクの主演作“無限の住人”を鑑賞。監督はコメディからバラエティ、そしてホラーと幅広いジャンルを手掛ける三池崇史氏。これだけ幅のあるテーマで作品を撮る監督は珍しいかも知れない。ある意味娯楽に徹っして観るが側を楽しませるそんなひとではないでしょうか?2010年制作の“十三人の刺客”は大好きな作品のひとつ。最近の日本映画は外国作品にも負けないクオリティの高さで、特にチャンバラ(時代劇)は、目を見張るものがある。近年では“るろうに剣心”がわたしの大のお気に入り。
さて今回の“無限の住人”は、キムタク(木村拓哉)を起用しての話題作。原作は最近多い漫画である。わたしは読んだ事の無い作品なので、先入観なく映画に挑むことが出来ました。SMAPの解散ですっかりケチのついた感がある彼だが、大の大人が考えたあげく出した結論にとやかく言う権利などだれにも無い。SMAPはSMAP、キムタクはキムタクなのです。山田監督の“武士の一分”以来の時代劇出演だが、あの時とは全然ちがうキャラ設定の上、娯楽性を前面に出した作品にまさに全力投球。ド派手な演出と、痛快なアクションシーンの連続で息つく暇さえ与えない。次から次へと現れる敵の濃いキャラたち。三池監督の手腕が炸裂と言ったエンターテイメント時代劇になっている。個人的には時代劇というよりは、チャンバラ映画と呼びたい。登場キャラたちの個性を派手に演出する、衣装・メイク・使用武器など男子にはたまりません。不死というキムタク演じる剣客万次が、その身の上に抱える運命の中で、悲哀を漂わせながら物語に深みを持たせている。荒唐無稽な話だが、個性と個性のぶつかり合いはラストまで大いに楽しませてくれる。出演者たちがみな役を楽しんでいるかのようで、生き生きしている感じがするのはわたしだけでしょうか?PG12指定されているので、女性には覚悟して観てほしい。手が飛ぶ、足が落ちる、身体が真っ二つなんてのが、怒濤のように押し寄せてきます。殺陣の派手さは“十三人の刺客”を遙かに上回り見事です。
この作品を観て思ったのは、どんな役でもキムタクはやっぱりキムタクの何者でも無いというところ。いろいろ意見もありますがカッコイイです。戸田恵梨香さん演じた女剣士が、屈強な男たちに混じり存在感をひときわ出していました。三節棍まがいの武器にも、惹かれるものがありましたが、なにより細身の身体で良く頑張ったという印象です。NHK連ドラやCMでおなじみの、杉咲花ちゃんが気丈なところとか弱いところを交互に魅せ、今後が大いに楽しみ。殺伐とした物語の中で、ユーモアを醸しだしのどを潤してくれてます。“湯を沸かすほどの熱い愛”での日本アカデミー賞受賞は、正しい評価だと観て納得。これからも応援いたします。
三池監督の次回作は、“ジョジョの奇妙な冒険”の実写版。原作の大ファンなので期待していますが、“テラフォーマーズ”のようにだけはならないことを祈っております。