2017.3.27
SF映画の名作は数多く、あげれば切りがない。“パッセンジャー”は、わたしの中にしっかりとメッセージを残し、そんな名作たちの中に割り込んできました。SF(サイセンス・フィクション)は、言うまでもなく科学的な空想に基づいた作り話。あくまでも創造の世界ではあると承知してはいるのだが・・・。この作品もそうだが、これから何百年も後のことかも知れないが現実になると思えるわたしは変でしょうか?
話は飛びますが、手塚治虫さんの漫画を幼い時むさぼるように読んだわたし。アトムに描かれた未来の街の風景は、いま現実として存在しわたしたちは当たり前のように暮らしています。きっとアトムのようなロボットももうすぐわたしたちの前に姿を表す事でしょう。
さて“パッセンジャー”、文句無くわたしのハートに響く作品でいろいろと考えさせられこころに残りました。感情移入の激しいわたしですが、今回ももしわたしだったら・・・と浸ってしまいました。近未来の話は、他の惑星に移民するために動く輸送船の中で起きた出来事。もうこれだけでも充分興味を引かれるのだが・・・。このリアルさは何だろう???ワクワク、ドキドキ感がたまりません。原因不明のトラブルで90年も早く目覚めた、移民乗船客の男(ジム)。たったひとり目覚め絶望の淵で、おのれと向き合い出した結論。決して許される事のないエゴの選択は・・・。これ以上話すと、もったいないのでみなさん自分でお金を払って観ましょう。損はしませんから安心してください。登場人物はたったの3人とアンドロイド一体。厳密に言えば俳優さん4人ですが・・・。それぞれみな存在感が、半端無く印象に強く残りました。主人公ジムを演じたクリス・プラットは、いま一番勢いのある俳優のひとり。最近観た“マグニフィセント7”でもカッコいい男を演じ、今回はまた繊細な役どころを見事に見せてくれました。相手役オーロラを演じたジェニファー・ローレンスは、もう言う言葉が見つかりません。奇麗な上に演技も素晴らしいなんてなんと罪作り。彼女の作品も沢山観てますが、こんなに美しいと思ったことははじめて・・・。強さを感じたことは多いのですが、今回はプラス眩しい美しさ。これじゃジムの気持も解ります。そして、大事な鍵を握るクルー役ガスを演じたローレンス・フィッシュバーン。短い出演でも圧倒的存在感で、唸らせます。そしてもうひとり、アンドロイドのバーテンダー(アーサー)を演じたマイケル・シーン。この人の表情や動きには、癒しのエネルギーが満ち溢れていました。彼が存在しなかったら、きっとジムは生きていられなかった事でしょう。
スペースシップのディテールの美しいフォルムや船内の美術など、きめの細かい拘りも凄くリアルで素晴らしいのひとこと。ここまで完成度が高いと、制作側も自慢の仕事ではないでしょうか?監督は“イミテーション・ゲーム/エグニマ”でアカデミー賞候補になった、モルテン・ティルドゥム監督。覚えづらい名前ですが、胸に刻みます。“エグニマ”も素晴らしい作品でした。次はどんな作品を観せてくれるのでしょうか?楽しみです。さぁ、いますぐ劇場に行きましょう!!
P.S. はじめにいろいろ考えさせられたと言いました。現代を映し出したような乗船客の待遇など、未来でも格差社会の壁は続いていることなどがひとつで、その中エンジニアのジムがこの航海に乗った理由が、わたしの中にグッときました。ここでクイズ、さてそれは・・・。見なければ解りません。