

2017.2.24
2017年度「第89回アカデミー賞」で、史上最多14部門ノミネートと話題のミュージカル映画“ラ・ラ・ランド”を鑑賞。その他の作品賞候補8作品がまだ日本未公開なので比べようもありませんが、とても素晴らしい作品でした。ミュージカル映画はハリウッドの専売特許・・・でしたが???。いままでも多くの作品が、アカデミー賞を授賞しているジャンル。なにかわざとらしさを感じ毛嫌いする人も多いですが、娯楽としてはまさに映画の王道。ただ西部劇同様、衰退の一途を辿っていることは否めないのが現状です。「レ・ミゼラブル」以来の鑑賞になりますが、この古典的作品と違い新しい風を果たしておこせるのかが、制作前にかなり論議されたと伺いました。そんな苦難を乗り越え生まれた作品は、間違いなくこころに響くアメリカンドリームを描いた作品となり、わたしには感動を与えてくれました。
アカデミー賞発表前に観たのですが、評判通りに素晴らしい出来の作品は、ミュージカルのエンターテイメント性+シンプルなストーリーが見事にマッチングし時間を忘れさせてくれます。音楽や衣装も80年代を見事に演出し、観客を大いに楽しませてくれます。3度重なる偶然の出会いから恋に落ちる男女は、それぞれに幾度となく挫折を味わいながらも少しずつ夢に向かい互いに励まし合う。そんなふたりが互いを思いやりながらも、少しずつズレて行く微妙な関わりが繊細に描かれています。等身大の男女の感情は観る側の共感を呼ぶに違いありません。若い頃の自分と重ね合わせて観るひとも多いはず。解りやすいという点は、娯楽作品には絶対条件のひとつ。そして全体の構成が無駄なく演出され、わびさびの決め所が秀逸で最後まで堪能出来ました。ミュージカルのわざとらしさが苦手な人も、しっかりと楽しめる物語ではないでしょうか?
監督はデイミアン・チャゼルで、2014年に“セッション”で高い評価を受け世界にその名が知られました。短編を除いてたった2作目。その上32歳という若さとなれば、今後の活躍がまだまだ期待されるひと。
26日に発表されたアカデミー賞では、監督賞・主演女優賞など最多6部門に輝きました。おしくも作品賞には手が届きませんでしたが、名実ともに高い評価を得たことは間違いありません。他の受賞部門は、撮影・美術・作曲・歌曲とミュージカル作品の面目躍如。観どころはいっぱいあり、いろいろな楽しみが出来るエンターテイメント作品です。
監督のインタビュー記事に、衰退するジャズ(音楽)を軸にした展開と、同じく衰退するミュージカルをあえて選び創り上げたことが語られていました。映画会社との間で、かなりの軋轢があったとも・・・。その信念凄いことだとおもいます。これからも良い作品をいっぱい撮ってください。
最後にミアを演じたエマ・ストーンさん主演女優賞、おめでとう!本当に気持ちの伝わる素晴らしい演技でした。オスカーは逃してしまいましたが、セブを演じたライアン・ゴズリングさん、ピアノの演奏シーンは忘れられない場面となりました。吹き替えなしで挑んだふたりの演技には、賞賛の言葉すら失います。ラストで二人が交わすアイコンタクトの微笑み、こころに沁みました。これからもますますの活躍をこころからお祈りいたします。素敵な映画をアリガトウ・・・。