2017.2.21
銀座は社会人として、はじめて勤めた場所。下町生まれのわたしには、それはもう別世界。当時は毎日がわくわくどきどき。いまも色あせることなく、東京のシンボルそしてカルチャーの中心としてわたしたちに夢を見せてくれる。そんな街で映画に出会い、わたしのよもやまシネマ人生ははじまった。来る度に刺激をうける街は、今日も輝いています。
301本目に選んだ作品は、CHNE-SWITCHで公開している“ショコラ”。パンフを毎回必ず買うのだが、この劇場で公開された作品の302本目の作品となっていてちょっとびっくり吃驚。偶然にも1本違いは、微妙な運命の繋がりを感じひとり悦に入るわたしでした。
さて、“ショコラ”はフランス語でチョコレートやココア表す。そして頭に浮かぶのが、すでに高い評価を受けている同名の映画(2000年公開)。ジュリエット・ビノシュ主演で世界でも高い支持をを受けた佳作。そして時を経ていま“ショコラ・君がいて、僕がいる”という新たな名作がここに生まれました。実在の人物の波瀾万丈な人生は、生きることの意味や価値、そしてひととの繋がりの大切さをしっかりと伝える力作になっています。黒人初の芸人の名“ショコラ”。これは当時では皮肉的に使われた差別の名。これだけでも作品の重さが伝わる。物語は生い立ちから成功、そして挫折と生涯を追って進んで行きます。いまでも消えることない差別の世界。どれだけ時間をかけてもなくなることのない問題ですが、作品の舞台になる100年前のフランスはいまの何十倍も人種差別の強い世界。世界を変えられると信じ力強く生きた黒人と、その人物を支え続けた白人の芸人コンビの友情は観るひとに絆の重さをと感動を伝えてくれました。主演のオマール・シーは“最強のふたり”で世界中の賞を総なめにし、あっという間にその名を知らしめたひと。素晴らしい作品で、永遠に語り継がられる名作と言えるでしょう。感動した、大好きな作品のひとつです。そのオマール・シーは変わらない演技力と圧倒的存在感でショコラを演じなりきって涙を誘います。ただ今回わたしのこころに強く残ったのは、相方のフティットを演じたジェームス・ティエレの素晴らしさ。引き立て役の存在ではあるが、間違いなくタイトル通り「君がいて・僕がいる」の2人3脚の名演技でした。演技だけで無く身体能力の高さに、ここまで道化師になりきるのにどれだけの時間を使ったのだろうと思うほど感動しました。いまも続く差別問題の数々に、一石を投じる作品のラストは絶対に涙してしまいます。観て損のない作品です。ぜひ、大きなスクリーンで観ることをお勧めいたします。たまには銀ブラいかがですか?