

2017.2.06
大好きなティム・バートン監督の最新作 “ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち”を観ました。やっぱりティムは最高です。ますます好きになりました。監督の描く独特の世界観は、どの監督とも違いわたしのこころを掴んで離しません。ファンタジーと一言で語る程軽くなく、それは深い夢の世界を紡いでくれるひと。光の世界ではなく闇(暗)の世界を巧みに構築し、その中に灯るわずかな光をわたしたちに描いてみせるマジックはだれにも真似できません。どんな頭脳を持ってすれば、こんな感性を表現出来るのでしょうか?羨ましい限りです。今もつづく“バットマン”シリーズの初代を創りあげ、世界をアッと言わせました。その後も次々にダークファンタジーを世に送り出し、その名を不動のものに・・・。きっと誰よりも純粋で、そして悪戯づきな少年のようなこころを持っているのでしょう。監督の作品はほぼ観ていますが、“シザー・ハンズ”が特に好きなわたし。今回もそうですがアウトサイダー(異端)のひとに、スポットを当てるストーリー展開にいつも引きずり込まれ、気がつくとその世界に迷い込んでしまいます。時々エグい表現も出て来ますが、それ以上に深い愛情が込められているのに気づかされハートが抉られます。映像はもちろん、衣装や音楽、舞台美術などすべてが調和され、まさにファンタジー。映画をこれほど自分の世界で創れるひとは数少ないのでは・・・。
さて、“ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち”ですが、ティム監督作品の中でもしかしたら1、2を争うものになるかも知れません。もちろん私の中での話です。原作「ハヤブサが守る家」を書いたサム・リグズが、自分に対する贈り物をくれたと称賛するほど満足したと聞きました。脚本という話もでたようですが、監督の大ファンで彼が自分の本を読んだと言うだけで舞い上がったそうです。ある意味リスペクトしているからこそ、ティムの作品の完成を楽しみにしたのかも知れません。原作者サム・リグズがきっと一番のティムファンなのです。ペレグリンを演じたエヴァ・グリーンのクールな美しさは近寄りがたいオーラを出しています。さまざまな作品でひときわ目立つキャラを見事に演じている彼女の存在は貴重ではないでしょうか。怖い役がお似合いですが、今回劇中ヴィクター(寝たきりの少年)を抱きしめるシーンは慈愛に満ち感動です。子どもたちの演技も、素直でみなそれぞれに愛らしいものでした。主人公ジェイク役のエイサ・バターフィールド(ヒューゴの不思議な発明)は、いま最も期待されている若手俳優で、この作品でもその力を見事にみせてくれます。子どもたちの中のひとり、エマを演じたエラ・パーネルが人形みたいでとても可愛かったです。“マレフィセント”の時、幼年の頃を演じた女優さんですが、きっとこれから出て来るひとに違いありません。ロープに繋がれフワフワ浮かぶシーンはファンタスティック!!絵本のワンシーンようで、とても奇麗です。ティム・バートン監督をまだ知らないひと、ぜひ観に行ってください。きっと大好きになると思います。
P.S. 脇をかためている俳優さんたちが半端ありません。サミュエル・L・ジャクソン、ジュディ・デンチ、テレンス・スタンプ、名優ばかりで、その凄さを感じるだけで幸せでした。