2016.Nov.14
映画大好きの我が輩が、唯一苦手なのがホラー系の映画。特にスプラッターは大嫌い。頼まれても見たくないジャンルである。今回観た“ミュージアム”は謳い文句に「サイコスリラー」とか「サスペンススリラー」とか出ていて微妙なニュアンス。それでも足を運んだのは、監督が大友啓史(るろうに剣心)さんだったからに他ならない。剣心は新しい日本のチャンバラ映画を創り上げたと、わたしはひとり勝手に思っている作品。その監督が創ったと聞けば観たくなるのは必然。ということで映画館へと・・・。
見終わったあと、正直とても気分は重たくメチャ疲れました。好きか嫌いかと言われたら、“嫌い”と言うだろう。これは別に作品の評価ではありません。ただ嫌いと言葉にしただけ・・・。
わたしも好みは多少あるので誤解しないで聞いて欲しい。原作は最近多い漫画と言う事で、前にも言いましたが小説より最近は多いのは間違いない事実。ある意味コンテが出来上がっているようなものなので、制作は楽なのかとも思える。でも逆にビジュアルが読者の心に残っている分、映像化はハードルが高いとも思うわたし。漫画はいまや、日本を代表する文化とまで言われているもの。そのレベルの高さは世界中で認められ、さまざまな経済効果を生み出している。そんな高い評価のまんがを映像化するのには、きっと覚悟がいるに違いない。まして知名度のあるひとなら、なおさらである。原作を読んでないので、何とも言えないがストーリーは面白いと思う。ただ、作品の冒頭から猟奇殺人がはじまりその死体のそばに残されたメモ・・・となればこれはもはや定番の流れ。古くは、ブラピの“セブン”を思い浮かべるし他にも似たようなものが多い。さほど新しくもないと思うのはわたしだけでは無いはず。セブンも最後あっさりと犯人が出て来るところは、いまでもちょっと負に落ちないが充分に満足の行く結末で印象に残っています。思うに原作者の方もきっと、そんな作品を多く観てその影響はきっとあったと思われます。あとはどうオリジナリティを出せるかが勝負。情報の入ってないひとは、きっと面白いに違いない。そう考えると情報って、面倒なものである。いつもマッサラな状態で観れたら、映画をもっと楽しめるのかも知れません。この手の作品では、何と言っても“羊たちの沈黙”のハンニバル・レクター博士(アンソニー・ホプキンス)が、思い浮かぶ。あの狂気は尋常ではない。到底理解など不可能なのだが、その内面には強く引かれてしまう。今回の作品は“ミュージアム”と名づけられ殺人そのものを芸術と位置づけたものだったが、その意味では“羊たちの沈黙”はまさに芸術的な映像表現だったと思います。そんな訳で過去の作品もいっぱい思い出し、頭の中がぐちゃぐちゃになりました。
映画の中身どおりの現実がもし自分に起きたら、絶対まともではいられない事だけは確かだと思います。ですのでラストはあまりに???でした。
主人公を演じた小栗旬は身体をはった体当たりの演技で、拍手です。そしてもうひとり犯人役の妻夫木聡は、見事な役づくりで凄みさえ感じました。このところイメージとは真逆な感じの役(例えば怒りの同性愛者)をこなし、役者としての評価を増していると思います。本当に素晴らしい。最後にこの映画、いくならひとりで行きましょう。彼女と一緒なんて、もってのほかです。とは言うものの、自己責任で観てもらう分には結構です。