2016.Oct.17
一時日本映画を観なかった時期がある。洋画にかぶれていた訳ではなく、生意気を言えば邦画が面白くなかったに他ならない。妙に洋画を意識した作りだったり、興行収入ばかりを求めた商業主義の作品が多くなり何か物足りない作品ばかりが続きました。もちろんそんな中にも素晴らしい作品はあり、今の映画界が存在しているのだと思います。最近の日本映画はとてもクオリティが高く、満足度もかなり高くとてもいい感じ。
そこで今回も邦画。”永い言い訳”を鑑賞してきました。本木雅弘(モックン)の久しぶりの主演映画。アイドルから俳優と転身した、間違いない成功者のひとり。”おくりびと”で多くの賞を獲り、その名を世界に知らしめたのは事実。昨年”日本のいちばん長い日”で昭和天皇を見事に演じ、助演男優賞を総なめにしたのは記憶に新しい。7年ぶりとなる今回の主演作”永い言い訳”待っていたファンも多いはず・・・。物語は突然の事故により、妻を失った男が涙さえ流さず淡々と生活をしていく様から始まる。表情ひとつ変えずそして、自分のことばかりを優先する姿に、観る側はいらつく。大っ嫌いな人種のひとりである。それがどうだろう、物語が進むにつれどんどんと変わっていく。そういい人になっていくのである。ひとはそう簡単な生き物ではないことを、この作品は教えてくれる。そして私たちの中にも、多かれ少なかれある、エゴが伝わる。ひとは失ってみてはじめて解る事がある。解っているつもりでも・・・。主人公が作家という特別な職業設定以外は、ごく普通の人間である。わたしたちと全然かわらないひと。わたしたちは気がつかないうちに、きっと誰かを傷つけているのだろう。それに気がついいたら、その分少しでもいいからひとのために何かできることを探しましょう。と自分自身に言い聞かせるわたし。映画を観ながら、何度か涙を流しましたがどのシーンも何気ない場面ばかり。自分でも何だか解らない感情が溢れてしまったようです。モックンの演技もさすがでしたが、竹原ピストルさん演じる大宮がとても良かったです。また、その子どもを演じた2人の俳優(藤田健心くんと白鳥玉季ちゃん)がけなげで素晴らしかったです。玉季ちゃんは自然体で、天才かも知れません。主人公の奥さんを演じた深津絵里さん、もうちょっと長生きしてほしかったなぁ~~!!遺影の写真がとても綺麗であんな写真を部屋に置いていたら、一生独身を貫いちゃいます。合掌。
最後に「泣くことができるって、なんて幸せな事なんだろう」と思いました。
P.S. 原作・脚本・監督を務めた西川美和さんの撮影の苦労がパンフに綴られていましたが、子どもたちとのふれあいにとても感動しました。この映画は女性目線だから生まれた作品に違いありません。これからもいい作品を見せてください。